安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
トップギアに再突入のブッシュ
------------------------------------------
〈 2007年 1月 27日 土曜日 〉


●ブッシュ節かわらず
一般教書演説の余震というか、最大公約数的に薄めた演説がおわるとブッシュ開き直りました。チェイニーは翌日のTVインタビュ−で増派反対意見を『くだらない』と一蹴。ブッシュはケーシー更迭(カタチは陸軍参謀総長に栄転)の後任ペトレイアスをホワイトハウスで紹介するついでに『決定するのはオレだ。決めた方針を早急に実行してもらう』"I am the decision maker", "Get over to the zone as quickly as possible, and implement a plan that will achieve our goals,"'と、ブッシュ節に戻りました。

●ペトレイアス=ファモス報告とベーカー=ハミルトン報告
わたしの手元にメCOIN-FM3-24.pdfモというネットから落とした書類がある。これは一月半ばにブッシュがイラクイラクの政治・経済・軍事増派を柱とする新戦略を発表したその前、アビサイド司令官の後にファロン太平洋軍司令官を、増派に積極的でない駐留米軍司令官のケーシーを更迭しペトレイアス中将を任命したとき、『反乱/テロ迎撃』と題する戦略書をこのペトレイアスがまとめたというのでダウンロードしておいた。


で、ブッシュのイラク新戦略はベーカー=ハミルトン報告を退け、米陸軍本部が立案したこのメCOIN-FM3-24.pdfモがもとになっている。COINとは報告書のタイトルCounternsergency(反乱/テロ迎撃)の略語、FMとはField Manual(戦場の手引き)の略語である。280ページの分厚い書類、だれでも入手できる一般公開用なのでやたらと「このページは意図的に白紙」にされている。ツンドクになっていますが、拾い読みしたところ、決して軍事マニュアルにとどまらない。社会・文化面からのアプローチもあり、社会科学のレポートによくある図表モデルが多く用いられている。一例が下の図。

グレーをかけた位置が増派時点、右下がりのの曲線は迎撃の効果、縦軸は下にゆくほど治安が安定するのを示している。増派新戦略により霊験あらたかなさまをご覧ください。モデルだからどうにでもなるといえばみもフタもないが、アプローチは本文を読めばそれなりの説得力はある。(わたしはテンで信じませんが)

ベーカー=ハミルトン報告書の提案・勧告には >反乱軍、市民軍との対話を通じた米軍の駐留。国連を通じたアルカイダを除く市民軍や反乱軍との対話。宗派間のコミュニティーの対話を推進< など至極ご尤もにて現実観に乏しいユメのような空論が詰まっている。キッシンジャーやパウエル、マラキまでも報告書に加わっているが、面妖なことよ。マラキは知っちゃおらんと撥ね付けたのに……。

●ビックリデー
近日は驚いてばかりです。今日はペロシさまがバグダッド入りしてマラキとあってる映像を見て、我が目を疑うほど。ナンシーさん有頂天がすぎますぞ!ブッシュはイランの侵入反乱幇助者に『デッドor アライブ』の命令を下しました。

私感。将棋好きの子が続けさま負けて、もう傍目には勝ち目がないのに泣き泣き『もう一ッペン』と食い下がる子がいる。いまのブッシュと重なって仕方がない。考えてください、ファルージャ総攻撃の結果はなんだったか、シリア国境の掃討作戦の結果はどうなったか。負けず嫌いのムダな抵抗は止しましょう。(了)

今回は予告通り演説の内政パート批判を書くつもりでしたが、新報道におどろいて斯くなりました。



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る