安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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米朝ビジネスの春きたる
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〈 2007年 1月 23日 火曜日 〉


●ブッシュ年頭教書をまえに
火曜日です。本日はブッシュ年頭教書の日、共和党が過半数割れしたはじめての議会でどんな演説になるのでしょう。イラク増派、経済支援と政権へのテコ入れという3本柱のイラク政策新コースが当然メインですが、はて不人気な政策をいかに説得できるか、こころもとない。ブッシュさんは米大統領らしく自信たっぷり、弁舌流麗でありましょう。しかしこれまでの年頭教書で多用した言葉『自由』、『デモクラシー』、『責任』や『義務』などは減るだろうな。

ここ数日バグダッドはもう病院にアキがないまでに死傷者が出た。内にあってはヒラリー・クリントンが満を持して出馬宣言。ブッシュ最悪のタイミングです。わたしは増派に大反対、もちろん私論があって反対するのですがブッシュさんには満腔の敬意をはらっております。ま、とにかく本日の(当地は夜中)演説を聞こう。内政をばラ色に自負してくださるなとおもいつつ。

●バンコ・デルタ 小開けされる北の政府口座
え〜、先の6カ国協議が決裂した6日のコラムで「次回の協議復帰は確実。数ヶ月中に再開」と書いた。そのような運びになりましたな。ヒルズが金桂寛に帰って親分に伺ってくるように託した提案、『核放棄と口座解除の双方を段階的に協議する』に北が応じてきたので次回は大きく進展するとみた。

マカオのバンコ・デルタで凍結された北朝鮮の口座で困窮しているのは取引のあった外国企業とて同じ。不正をしていなくとも北から振り込まれた代金を出せない。アガッタリの顧客から政府筋をとおして緩和するようお願い催促が寄せられている。で、どの口座が合法で解除できるかを討議する米朝実務者協議が前もって北京で開かれ、これには金桂寛代表が直々に参加する。ひとつでも多く口座を開けてほしい北正日の切なる願いがみえる。

● ビジネスしたくて待ちきれない米朝
しかし一番の理由は米ビジネス界の意向だ。米企業には厳しい対北通商措置をとっているが、欧州各国は国連決議に寄る経済制裁を実際には課していない。軍用転換が可能な機器資材以外自由である。今日、ニュースを見ているとドイツのジャイアント・ウサギ飼育業者が北朝鮮の出先から買い付けの問い合わせがあり、4月に飼育指導に招待されたという。このウサギは普通の倍くらいあり、一匹で7人分の肉がとれる。動物タンパクが不足する北朝鮮が目をつけたというわけ。

ご存知のように欧州各国は北朝鮮の公館を封鎖せず、ビジネスチャンスはないかと根気よく探してきた。昨年、平壌に欧州商工会館がオープンしたことは北の体制が開国機運に動いているのを感じ取っているからできることだ。この欧州商工会館は欧州企業の進出を助ける宅配のDHL、会社設立の法的支援、進出企業へのインターネットサービスなどを含む12社で出発した。

さて、北朝鮮に石油が出るか……石炭があるからには石油・ガスがあっても不思議はない。少ないけれど肅川郡油田で年間30万トンの原油生産能力がある。望めそうな地層は平壌区のほか、海底油田が中国側の西朝鮮湾(西海区)、ロシア側の日本海(東海区)に眠っているかもしれない。が、これを開発する資金と技術が北にはない。04年、ロンドンに拠点をおくAminex plcが北の政府と開発支援契約を交わした。現在既存データの解析を進めており、今年サイスミック探査を開始する。http://www.aminex-plc.com/aminexnorthkorea.html アミネックス社は国情・政体に関係なく世界中石油のありそうならところなら何処でも出かけてゆく資源開発社。この業界ではあたりまえ、善悪の問題ではない。

労働力が安くモラルも充分な北を下請け工場に利したい米企業は多い。こうして見ると経済面での米朝関係は米中関係の新規焼き直し、互いの思惑が合致する。日本は置いてきぼりです。いいのかな、巻き返しはすぐできますが。(了)



Pnorama Box制作委員会

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