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デイヴィッド・ホックニーを見る
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〈 2007年 1月 22日 月曜日 〉
● David Hockney Portraits 昨年10月からナショナル・ポートレート・ギャラリーで開かれていたこの展覧会は今日の日曜日、1月21日で終了しました。 ホックニーは静物、風景画、舞台美術、写真、など彫刻や陶芸以外はなんでも描きまくった。この展覧会はしかし人物画にかぎって1856年から2006年までの作品を集め、200点以上を編年的でしかもテーマを家族とか友人とかに部屋分けして展示している。教え方が巧みで、もっと知りたい興味をわかせ、賢くなって会場をあとにするような満足感がありました。
カラー鉛筆で描かれたセリアは息づくように驚異的な美しさ。かなり大きい作品です。本からデジカメで撮った上の写真(こんな事しちゃいけないんですが)ではとても見えない繊細さ。画家の愛情があふれていて胸苦しいほどです。このはがきが一番売れているそうな。右はセリアとファッションデザイナー・オッシーのカプル。セリアが立ってオッシーが白猫と座り、白い電話と造花のスタンドがある。セリアには白百合がよく似合い、ここでもほのかにピンクがかって描かれている。奇妙なのは二人の物理的な距離もさりながら、互いのコミュニケートがない表情。それがわかると愕然とし、張りつめた空間のナゾがとける。この作品が描かれた後しばらくして二人は離婚したという。 ●ポラロイドとルチダ投影カメラ ホックニーのポートレートで注文で描いたのはふたつしかない。家族やモデルになってくれる友人や描きたい人物を自由に描いた。時間の取れないモデルには面取りスケッチだけしておき、あとはポラロイドを参考にしたり、ルチダというプリズムで直接画像を紙面に投影するカメラでをつかった鉛筆によるポートレートのシリーズはウマイ。ウマイというのは、このカメラが絵の雑誌や通販のチラシによく広告が出ていて誰でも上手に描けるというんですが、そんなに簡単じゃない。また写真や雑誌をハロゲンランプで反射投影する機器がちょっと高いがありました。テクニカルなイラストには大変重宝ですが、顔のトレースは人物スケッチの基礎がないとどうにもならない。だからホックニーはウマイ。結局ある程度使ってみると飽きて、「モデルを前に描くのが最も良い」なんて常識を臆面もなく言うホックニーはやはり常人ではない。アンディー・ウォーホール亡き後、生存する画家のチャンピオンにちがいない。 生まれ故郷のヨークシャーに帰って、多くの風景画を描いたが、4〜5年前当地のフィヨルドを訪れ、スタルハイムからの景色を、4枚を合わせの段ボール紙に描き、スタルハイムホテルに置いていった。ロビーの見えにくい所にかかっているがもったいない話だ。骨董やくだらない能面をガラスケースにいれ、たいしたことのない油絵を特等の場所に飾ってあるので、ふつうは知らずに見落とします。もっと喧伝すべし。(了)
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