安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ロンドンにて
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〈 2007年 1月 21日 日曜日 〉


ロンドンの休日から帰って一週間ぶりのコラムです。まだ休み気分からエンジンがかからず、本日はわずか数枚撮った写真で凌がせていただきます。

●ヒイラギブッシュ通り

ハリウッドならぬハリブッシュ通りがグリーンゲイト通りの横通りにある。HOLLYとはクリスマスの花輪や飾りにつかうヒイラギで葉にトゲがある。ブッシュ大統領の祖先はイギリス系、ブッシュ通りやハリブッシュ通りは英国中にありそうだが、ここイーストエンドは庶民、労働者階級がんだ所であり、インド系移民が多かった。それが近年すっかり中東・アフリカ系、中国、東南アジア系移民が集まる地区となり40パーセントは外国系が占めている。このハリブッシュ通りは両側にギッシリ3階長屋がならび、荒れた空き家が結構多い。半分以上が外国系住人だ。ブッシュ米大統領をを支持する住民は皆無の地区である。

一方この地区の中心地であるストラトフォードは2012年のオリンピックにむけた胸算用か、民間のビル建設工事があちこちでおこなわれている。駅の増築もその一環か、しかしオリンピック施設の計画がまだきまっていないので近辺の林や野原は冬の侘しい枯れ風景のまま、いつもとかわらない。

●暴風のロンドン

雨風の強いベルゲンから温かいロンドンにきたら3日目、木曜日にロンドンが暴風雨に見舞われた。ずっと雨模様でしたが傘を使ったのはこの日の朝10分ぐらいだけ。前日1ポンドショップで傘を3本、老眼鏡を3本など買い物かごに入れておいたのでこの朝傘を使ったら、風でたちまち骨が曲がって潰れました。道路のゴミ箱(Litter)に直行です。家内持参の傘は壊れない。1ポンド(200円)ショップの傘、残りの2本は風のない日に使いましょう。

この日、ロンドンでは屋根瓦が飛んだり、木塀が倒れたり、車がとばされたりかなり被害がありました。ウェストハムステッドへ行った帰り、2階建てバスの上から道路上に倒れた木をパチリ。幹は大木だったな。現場は昔日本人とユダヤ人が多く住んだフィンスベリーのちかくです。

●フォレーのレクイエム
この日、St.マーチン教会のコンサート、フォレーのレクイエムを聞きにゆく。いつも家内がネットで注文しておく。(日本でフォーレというが、いまでは英米でもフランス風アクセントでフォレーFaurё ニ発音)ブランデンブルグ・シンフォニアというロンドンベースのチェンバーオケ、合唱団は数えたら40人もいない編成でした。このフォレーのレクイエムはベルゲン中央教会で2年前聞いたのですが、この時の合唱団は60人以上いた。わたしたちはプログラムを1800円も出して買わない。案内の紙切れで充分でしてどんな演奏会でも買わない。で、つき出しに何を演奏するのかよく知らない。まずモーツアルトが軽快に、次は何かしらないが美しい小品、それからなんとホルベルグ組曲をやりました。この楽団がやるとグリーグも軽快に空を飛ぶ音の世界です。休憩の後、この間に地下のレストランでワインを飲む輩がかなりいる。わたしたちは演奏前に一杯やっておいた。そしてフォレーのレクイエム。少人数のコーラスにしては以外に声量が豊かで色合いも微妙、ウマイなあ。ソプラノとバリトンも良い。静かに美しくやはり空中を漂うごとく軽やか、フォレーの醍醐味です。

コンサートを出ると、「殺し屋暴風雨ロンドンを直撃」なんて号外が出ている。 レクイエムと暴風雨の1日でした。


嵐の日があけると台風一過、滞在先のフラットの窓から青空に白い雲がポッカリ浮かび、まことに美味しい日になりました。高層ビルの一軍はカナリー・ウォーフです。昨日の暴風だって、14度もあり春風を感じさせるもので、歩くのが苦ではない。なんの花か知らず、真冬1月に葉のい枝に強烈な甘い香りを放つブッシュが道路脇の道に咲いていました。

●60年代のデザイン学生が憧れたホックニー
さて、私の目的はナショナル・ポートレートギャラリーで開催中の『David Hockney懐古ポートレート展』です。もちろん真っ先に行き、2時間ジックリ見てきました。実際の作品を見て新発見が多々あり、感動をあらたに。なーにも知らなかった家内も解説を読んで会場を全部見て回った。こんなこと珍しい。ホックニーのメーッセ−ジは具体的、画面に迷いはあっても曖昧さがなく、自分を飾らず言い訳もしない。したがって絵に興味のない人でも楽しめる。ホックニーについては、回を改めて書くつもりです。(了)



Pnorama Box制作委員会

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