安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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安倍首相、欧州からASEANへ
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〈 2007年 1月 15日 月曜日 〉


●ニュースにならない日欧関係
安倍晋三首相が欧州4カ国とEC本部を歴訪して、トップ会談を行ったが、合意文書を交わすような交渉はない。応じる方もノンキだから欧州のメディアは失礼なくらい不熱心でした。特にブレアと会見の後ふたりが記者会見にあらわれたのに、安倍さんへは質問がなくて、ブレアに集中。当地で見られるイギリスの24時間報道TVはふたつ、BBCとSKYがあるのですが、両方とも安部さんが写ったのはブレアと一緒に演壇へ歩いてくるところだけ、あとはフセイン処刑後コメントを拒否してきたブレアが問いつめられ、先のブラウン外相とおなじような容認できない処刑プロセス論で逃げ切った。それなりに面白い。しかし安倍さん、メディアには無視されたな〜。

麻生さんも東欧にお越しのようでしたが、こちらもニュースにならなかった。そういうことを当地の地方記者さんと話していたら、そりゃお互いさまだという。そういえば外国元首の訪日でも『首相動静』にしかでてこないケースがある。だれと会ってどこへ行ったか、数行でおしまい。在日公館や随行記者は、我が元首がどのように報道されているか気がかりなので、新聞を取り寄せ、TVニュースにかじりついて調べるのですが、チットモ我が元首が登場しないので不満やるかたない。ブッシュや胡錦濤と会見すれば国際ニュースになるのに、日本は報道してくれないという。やっぱりね、ニュースバリューもまた地政学的所産。新人安倍さんが無視されるのもしかたがないか。

●フランスの次期大統領候補に面通し
フランスではシラクのほかに、シラクなんぞもうどうでもよろしい。次期大統領で接戦するサルコジとロワイヤル美女にキチンと面通ししておいたのは賢明でした。ド・ビルパンを素通りしたのはもっと賢明でしたぞ。話はかわりますが、ヒラリー・クリントンはロワイヤルが是非会いたいとのたっての申し出を、断った。ヒラリーさんてのは冷静慎重な先読みがスゴイ、自己の利益になるか不利かを常に測っている人だ。

さて、安倍さんはASEANでやっとヒットを飛ばしたというか、拉致問題と投資協定で日中韓が、安倍・温・盧が並んで握手をしている映像がどの局でも流れた。対北政策で米が大いに宣伝したい、かといって投資協定では欧米をビビらせる悩ましい映像である。

● ASEANを囲みとった破竹の中国
今年は温家宝首相を手始めに、そのあと胡錦濤が訪日する。安倍首相再度をもっと大々的に赤絨毯と礼砲で早く迎えたいという中国。どうも中国ペースに翻弄されているように見えるが、中国の狙いはなんでしょう。日本の技術と国際ビジネスのノウハウ以外にもあるのだろうか。仲良くしたいだけでは意味がない。その辺を究明したうえで、そうだ、ヒラリーさん流が必要だ。

中国はASEAN会議が終わって、開催国のフィリピン・アロヨ大統領と12の通商貿易協定に署名した。今回は新規の石油契約ではなく、ハイブリッド・コーン、ライス、ゴム、野菜.熱帯果物の栽培への投資と輸入である。バナナ、パイナップル、マンゴー、パパイヤなどが中国の市場へ。いまや食べ物も輸入しついでに大規模温室栽培農場を作って、年中新鮮な野菜果物を日本その他北米や欧州に輸出しようという中国商法である。バイオ・エタノール燃料の開発というのもある。利用する植物は何か知らないが、これら12の協定はすべてフィリピンの国土をブルドーザーで開発する計画ですから、森林荒廃が加速するのは目に見えている。 しかるにフィリピン紙はバラ色の報道なのです。ここをみてくださ。(了)
http://www.manilastandardtoday.com/?page=news2_jan15_2007



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