安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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親露ベラルーシにも厳しいプーチンのエネルギー戦略
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〈 2006年 12月 29日 金曜日 〉


●新ロシアのベラルーシも例外ではない
少し背景をおさらいしておきたい。ロシアがベラルーシ(白ロシア)に供給してきた天然ガスの価格引き上げを要求してきたのは、ロシアルーブルの導入をベラルーシの独裁者ルカシェンコ大統領が断った直後である。ベラルーシは独立国、ソ連崩壊によりロシア連邦国と同時に誕生した独立国である。通貨はルーブルだがロシアンルーブルとレートが100倍くらい安いベラルーシ・ルーブルを用いる。

ロシアは自国通貨に統合せよと強要してきた。いくら親ロシアのルカシェンコ政権でもそれでは経済の独立性が保てない。拒否は当然、ロシアもわかってやったことで理由作りに過ぎないのであるが、プーチンの資源国際戦略に沿って値上げを通告した。

ベラルーシへ供給されるガスはロシア国内の地域料金とさほど変わらない格安で、日本の原油・圧縮ガス輸入額からみればタダみたいな値段である。したがって値上は避けられない。欧州へ輸出する国際価格に近づくのはやむをえない。わたしもそうおもう。だが相手国の経済をノックアウトしないよう、もっとスムースに、段階的に話し合えないものか。ロシアは国際ビジネスの慣習を守らない。力で相手を屈服させ、しかもそのゴリ押しがこれまで悉く成功しているのが悔しいではないか。

●パイプラインを管理下に
具体的なゴリ押し要求は:ベラルーシ国内のパイプライン「ベルトランガス」の50%をロシアの「ガスプロム」に売却する事(油送管乗っ取り)、さもなくば現行の1000立法メートルあたり47ドルを1月1日から200ドルまで値上げする、というもの。ロシアの狙いは欧州へのガス戦略としてCISを通過するパイプラインの権限取得にある。

火曜日、モスクワでの最終交渉が決裂した。双方の歩み寄りがどのあたりなのか、ガスプロム側は110〜135ドルを示し、ベラルーシのシドロスキー首相によれば1月1日に75ドルで妥結するだという。もし妥結しなければドイツとオーストリーに送るパイプを絞めると負けずに脅したのだが、ガスプロムの脅しは妥結しなければ元日午前7時に供給停止だ。私のあたらない予想をいえば、ロシアのごり押しが勝って110ドルで妥結。

【参考】
ロシアから欧州への天然ガスはウクライナ経由80%、ベラルーシ経由20%。ウクライナ供給をカットした時は欧州も影響をうけたため、今回ロシアはドイツ最大の貯蔵施設基地ライデンに備蓄、これはガスプロムとBASFの合弁企業「ウインガスWingas」の施設である。またオーストリーのハイダフにも備蓄したので数週間は支障なし。
【2007年ロシアの天然ガス価格/1000立方メートル】
ウクライナ$130、グルジア$235、モルドヴァ$170、ベラルーシ$110?アゼルバイジャンはロシアの要求$235と最後の交渉中、$150-〜180?なお、欧州での消費価格は$250以上。

ベラルーシだけで埋まりました。他のCIS各国についてはまたの機会に(了)



Pnorama Box制作委員会

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