安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イギリス女王と日本天皇のスピーチ
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〈 2006年 12月 26日 火曜日 〉


●天皇の戦争史観、
「戦争の教えを学ぶべき」との見出しでBBCNネット版が伝えていた。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/6206329.stm
日本国天皇が誕生日によせてとスピーチしたこの部分をかなり詳しく、靖国と戦犯合祀の問題をひっかけて、そちらの方が分量も多くかいている。BBCは経済分野の報道は優れているが、伝統的に日本軍国主義に拘泥するけいこうがあり、特に皇室に対しては戦後一貫して好意的ではない。イギリスの東洋史観は繋がりの深い中国史学に立脚していたのでその亡霊と、もう一つは自分たちの贖罪に日本を利用している面がある。

『天皇の言葉として『年が経つにしたがい、戦後生まれの人々が増えてまいりました。わたくしたちは戦没者を哀悼することによって、先の世代がどのような世界であり、またどのような社会に生きてきたのか、その理解のために役立つこととおもいます。戦争とその尊い犠牲者の方々に関する事実が、戦争を直接知らない世代に正しく受け継がれ、そうして私たちが経験した痛ましい戦争が再び起こることがないように、心から願っています』。

天皇のお言葉に似せて訳すと上記のようになる。実は原文を見ようと先ほどヤフーの新聞欄で『天皇』を検索してみたら、競馬がずらっときてそれからサッカーがでてきて、もうこれどうなってんの。

天皇の発言そのものは、何処を探しても一言一句、物議をかもす文言はない。お年からも至極あたりまえの感慨であり、常々頭にある想いだろう。

●エリザベスの世代観
エリザベス女王が天皇とよく似た事を恒例のクリスマススピーチで述べている。 まず、イラク戦争で犠牲になった兵士を悼み、世代間の広がるギャップを例のドライユーモアが冴える。さらりと『私ほど年を取ると……』なんてまくらをおいたり、『私と同い年くらいの祖母さんが孫にばあちゃん石器時代知ってる?って聞かれました。ちょっと過ぎるけれど』。こんなドライな語りをいれながらクリスマスの意義をさりげなく、異なる世代が一緒になる祭りの意義を語ります。

画面は子供たちとお喋りしながら一緒にクリスマスの飾りを作る女王、その場所でスピーチが自然に引き継がれ、さらに教会のなかへ場所が移動し、TV構成がよく出来ている。しかもエリザベス女王は家庭内の苦労が一段落したせいか、貫禄と軽やかさが実に清々しい。

話が横にそれたが天皇も女王も言わんとすることはおなじ。明仁天皇は武道館での戦没者哀悼に毎年献花されるので、目新しくはないが、改まった発言としてはこのたびが始めてではないだろうか。中国の非難が収まったので言いやすくなったのかもしれない。これからも先輩エリザベス女王のような自由な中にも慎みのある発言を聞きたい。(了)



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