●孤独な天才から繋がる個人へ
アメリカ人は孤独な天才が好きだ----アインシュタイン、エディソン、スチーブン・ジョブなどの追随者たち---しかしこういった独りぼっちの夢見る人は他人と演ずる事を学ぶ必要がある。自動車産業はデザインを公募するようになった。ロイター通信はニュース配信と並んでブログを開設している。マイクロソフトはユーザーが作ったLinuxwをかわそうと超過勤務で必死だ。わたしたちは爆発的な生産と改良をみているが、それはいま始まったばかりなのだ。
いったい誰が推進者なの?まじめな話、一日の仕事を終え机に座って、今日はLost(ネット映画サイト)を見ない。コンピューターでペットのイグアナを主人公に映画作りをやろうかな?50 Cent(ソニーの音楽サイト)のヴォーカルをQueen(東芝の音楽サイト)の楽器でマッシュ・アップしようかな?ブログにオレの気持を、国家の現状を書いてみるか、それとも新開店した近くの居酒屋でステーキ・フリッツでも食うか?いったい誰がそんな時間と精力とヤル気をもっているのだろう?
答えは、あなた。グローバルメディアの統制を奪い取り、新しいデジタル・デモクラシーを創設し、枠組みをつくる。報酬なしに働き、ゲーム作りではプロ顔負けの手腕。タイムの選んだ「2006年今年の人」はあなたです。
●コンピュータ画面の向こうの顔
もちろん、コンピューターを額面通り必要品である以上に美化しては間違いだ。賢明なWeb 2.0はバカな者どもも利用する。YouTubeで見かけるコメントにはじっさい人類の未来を暗澹とさせる、スペル一つとってもそうだ。(この部分筆者にイタイイタイ)だが、ワイセツや赤裸な憎悪なんぞ気にするな。
Web 2.0は壮大な社会的試みであり、実験は失敗もあるが、常に試してみる値打ちがある。いかに60億を超える人間の有機的組織がこの地球で生き、ともに働くか、ロードマップはどこにもない。しかし2006年はいくつかのヒントを与えてくれた。これは新しいタイプの国際理解を深めるチャンスではないか。政治家から政治家へではなく、リーダーからリーダーでもなく、市民から市民へ、個人から個人への広がりなのだ.コンピューターの画面を見てそのなかにこちらを見ているのは誰か、人々はしっかり誠実に見つめるときである。ほんの興味本位で(ネットを)なんてどうぞ言わないで。
(2回にわたってタイム誌Person of the Year:Youを私訳、了)