安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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神通力を失ったメラケル
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〈 2006年 12月 14日 木曜日 〉


●経済成長減速
ドイツ経済は第3四半期が0.6%あり、第4四半期も同じ成長率が見込めると予測されていたが、12月12日のニュースでは半分の0.3%に減速する見通しだ。16%だった消費税が19%にあがった。クリスマスと新年をむかえて逼塞感があり、消費が急伸するバイング・スプリーはつつましいものになるだろう。

とまれ、欧州主要国の経済は何が起ころうと歴史と盤石な構造があり絶対にガラガラポンとならない信用がある。これはアメリカ経済や日本経済もそうで、ダメダメと金融界が騒いでも、大半の国民には関係ない。米金融界は空前のボーナスブームに沸き立っているが、これまた大半の国民には関係ない。というような一種安心感をわきまえたうえでドイツの不安定を述べているので、早とちりしないでいただきたい。

●ブッシュがこけて、後ろ盾を失う
メルケル首相が登場した当初は、冷えきったまった米とイギリスを除く欧州との関係修復に大もてだった。米欧間だけでなく世界紛争の仲介役として期待されたものだったが、いまや鳴かず飛ばず。先日イスラエルを訪問、オルメトと記者会見に並んだが、質問はイスラエルの核保有に口を滑らしたオルメトに集中し、メルケルさんはアホのように突っ立っているだけでした。

ブッシュのイラク侵攻とブッシュ個人を嫌悪したシュレーダー首相にかわって米寄りの姿勢を強調したメラケルさんだが、ブッシュが最低になってしまったいま、米寄りの姿勢はトクにならないばかりかマイナスになっていまった。同じ事は安倍首相にもあてはまり、アメリカに寄りかかれない現在、頼りなく見え、独り立ちで外交できる力はない。

●保革大連合の失敗
ま、メルケルさんの地盤は保革大連合によって生まれたので所詮ひ弱な首相ですから、アウラを放射できなくなったいま、社会民主党からの難癖ばかりか、自分の党からも突き上げられて現状は外交どころではない。メラケル失速の原因は失業率に成果がなかったこと。シュレーダーは失業率増加を食い止められなくて支持を失い、よって人々はメラケルに期待したのだが、失業率は高止まりのままだ。実質10%台はある。わたしに言わせれば先進国の失業者は増える事はあっても減る事はない。失業率の高い先進国と出生率低下は相関関係があるのではないか、自然の摂理ではなかろうかと空想するのです。

指導力を失ったメラケルは率先して進めるはずだった保険・医療改革が連立野党の抵抗で頓挫、各党党首とメラケルはドロ試合の様相である。社民党や、キリスト教民主連合からナメられるようなってはおしまいだ。

ドイツとロシアは良好だったシュレーダー時代からプーチンの資源政策が変わてしまった。プーチンからドイツだけが特別扱いされるわけもなく、ロシアからのオイル・ガス安定供給に不安が残る。(了)



Pnorama Box制作委員会

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