安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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社会格差ドイツ新事情
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〈 2006年 12月 12日 火曜日 〉


●余裕を失った欧州
欧州は捗々しくない。トルコのEU加盟に『待った』をかけたのは、トルコが人権を含む経済と財政の条件を満たしていないという尤も至極な理由もあるが、本音は元気を失ったEUが足を引っ張られる国を抱え込む自信がなくなったからである。以前はキリスト教国で構成されるEUに、イスラム国トルコを受け入れる懐の深さがあったが、いまはそれどころではない。

フランスでは移民系若者の暴動で極右のル・ペンが20%を超える支持を集め、社会の亀裂は年々深くなるようだ。ゲットーといってもよい中東アフリカ系の移民地区では若者の半分が失業者で、政府の失業者対策はこの1年半、予算をつぎ込んだものの効果はまったくない。あたりまえだ。新雇用を必要としない国が政策で雇用増加を実現するなどできるものではない。

ドイツは景気の良かった60年代に仕事を求めて大勢のトルコ人が移民として流入した。人手の足らなかったドイツは大助かり、移民を奨励したのでした。したがってドイツでは景気後退後も、恩義になった移民の福祉政策が手厚く、また中東・北アフリカ系がフランスほど多くなかった事もあって、夏の暴動は起こらなかった。

●貧困層と子供の貧困
しかし91年、東西ドイツが合併したはいいが、東西の社会的、経済的格差はあいかわらず続いていて、特に子供の貧困がひどい。この貧困子供層は離婚マザー家庭と移民失業者家族の大問題で、長らくドイツの大社会問題でした。で、どうなっているのかと国連調査の報告書を見れば、ドイツに住む子供の貧困は横ばいどころか増えているのに驚いた。(ユニセフA Portrait of Child Poverty in Germany 2005)

欧州ではどの国にも年収によって人口を五つぐらいに分けて表す統計を発表し、最下層が貧困層と見なされている。このほどドイツ統計局が今年の結果を公表したのを見ると13%、一千万人がこの貧困層にある。一方、ニョキニョキと新しいビルが立つ所を見ると、減速状態の成長率のなか,勝ち組産業が確実にある事が分かる。

社会格差の広がりは情報社会ほど実感され、ひらたく言うと失業者ほどコンピューターやテレビと過ごす時間が長く、羨望と妬みを抱きやすい。仲間とたむろして過ごす時間も長い。社会危機に繋がるわけだ。中国各地での暴動も情報社会になった中国だから頻発するようになったといえるだろう。(続く)



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