安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ポロニウム210を発散した男
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〈 2006年 11月 29日 水曜日 〉


●前例のない事件
ポロニウム210という放射性物質なんて聞いた事がなかった。自然界にもあるそうだが、そんなもの集めて容れ物に詰めるなんて事は出来ない。この放射能で寝返りスパイのリトビネンコが殺された。このニュースに瞬間ブッタまげした。このところ大忙しなのであまりフォロウしていないのですが、戦争ですら使わない大量の放射性物質を殺人に用いる事件がかつてあったか。やはり前例がないらしい。

ソ連崩壊時にウランやストロンチウムなど紛失した。キケンな放射性物質がテロリストの手に渡り、バクダンは作れなくともバラまくことは出来るのだからヒヤヒヤものでしたが、そういう事件は起こらなかった。タンソ菌事件の頃、白い粉が郵送されたりしたが、みな偽物でメリケン粉とかベビーパウダーなのでした。あれが放射性物質なら開封しなくてもおおごとだ。

●政府に顔が効くプロの仕業
この事件は周到でプロの仕業、ロシアのスパイが寝返ったスパイを放射物質を使って手を触れないで殺す高度なワザ。分かりきったことだが、自爆テロ組織が差逆立ちしてもできっこない。核施設から要るだけの量を調達できる国家と関わりの深い大組織でなくてはできない。

リトビネンコは、入院するまで放射能を発散しながら歩いていたことになる。気の毒にも放射能を浄化するクスリなんてあり得ないので、致死量を摂取すればあとは死ぬしかない。細胞が徐々に破壊され各器官は機能せず、死はゆっくりとおとずれる。おそろしく苦しいらしい。

●ベレゾフスキーの胸算用
さて、立ち寄った6カ所からポロニウム210が検出されているが、最後に寄ったので有名になったItsuというピカデリーにある寿司バーのほかに、ベレゾフィスキーの事務所でも検出されている。ベレゾフスキーはユコス石油のホドロコフスキーがプーチンにシベリア送りされる前にイギリスに亡命した成金実業家である。で、プーチンとKGBで一緒だったリトビネンコはこのベレゾフスキー暗殺のミッションをうけてイギリス送られたのだが、そこで亡命してしまった。それからプーチンの内幕暴露に熱中、そしてベレゾフスキーはリトビネンコの後見人になっていたのでした。パトロンになったのは利用価値があってのこと………

ン、余り近づかない方が無難。捜査をしっかりしてもらうとして、このへんで。(了)



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