安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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経済破綻をもたらしたハマス政府
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〈 2006年 10月 24日 火曜日 〉


●パレスチナの食料危機
この冬には、ひもじくて寒くて餓死する人が多数出ると予想される北朝鮮が心配されますが、いまパレスチナもおなじくらい食べるに困っています。今年の1月、ハマスが民主的な選挙で勝利し、ハニヤが首相に就任、ほか政権の主要閣僚をハマスが占めた。ところがあのガンコというかイスラエルを認めない立場をいまだに貫いていて、『イスラエルは存在してはならないと』いうイランのアフマディネジャフの考えとぴったり一致する。ハニヤをすっかり見誤りました。

で、一月以来、西側の経済制裁が続いていて、よく持ちこたえるな。ハマス組織へは従来通り近隣アラブ国から義金が入るので指導部はま、いいだろう。しかし役人の給料は殆ど支払われていない。パレスチナ自治政府の財政は、設立以来ずーっと、何十年もずーっとです、米とヨーロッパ/EUの援助でまかなってきた。役人が消費する給料はガザや西岸を巡り、経済は成り立っていた。

でもいまは国中お金がないのだから商売も出来ない。国外貿易は制裁措置を受けている。商売ができなくなったブローカーや中小企業主は祖国を脱出し、経済の大きな部分であったイスラエルへの出稼ぎも厳しくなった。

●ハマスがパレスチナを滅ぼす
ファタとハマスは武装派レベルで市民戦争と言って良い状況です。先日金曜日、ハニヤ首相のコンボイが銃撃されたのも、言われるようにファタとハマス武装派が衝突したトバッチリなのか、独立派がハマス暗殺を企てたのか疑いが残る。

治安部隊はハマスの元軍事組織を横滑りにしたハマス主導だが、アブ・マーゼンは退役将軍のイスマイリを呼び戻して対抗。するとハマスはファタの本拠地・西岸にも治安部隊の基地を新設すると発表。対立はエスカレートするばかりである。20日エジプトの徹夜調停で双方が武力衝突をさけることで合意したが、あんなもの翌日から元の木阿弥だ。

●決断したアブ・マーゼン
アブ・マーゼンは国連総会から帰ってからハマス排除を決断したようだ。ニューヨークで中東を含む各国首脳の多くからハマスを退治するよう圧力を受けて、そうすることに協力を得た。イスラエル発の情報では来月はじめ、アブ・マーゼンが解散総選挙を命じるか(大統領権限)、もしくは国民投票で政府不信任を問う。。ハマスが過半数を失う新政府樹立が目的。イスラエルとの共存/和平交渉再開、国際的に認定され経済制裁を解除してもらうためにはこれしかない。『それは憲法違反だ』と反対するハマスに『いまは民主主義よりパン』と応じた。アフリカや北朝鮮だけではない。パレスチナ人民も食料支援を求めている。(了)



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