安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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対北国連決議は制裁よりメッセージが主体
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〈 2006年 10月 15日 日曜日 〉


●大島国連大使の快挙
北朝鮮に対する国連安保理の決議は、2度目になります。テポドンでは大島国連大使がハッスル、今回は日本が議長国としてソツなくまとめました。こういっちゃなんですが、以前、この人が在豪大使の頃辛口書いたことありました。あまりパっとしてはいけない外交官でしたから、これまで目立たなかったのですが、国連大使になってから大仕事をされました。そういえば棒読みで過ごした大使に小和田というサロン大使がいましたっけ。大島大使は落としどころを心得た文句ナシの議長ぶりです。

国際規則やぶりに対する国連決議は、一週間を過ぎれば決まったところで実施効力はきわめて低くなる。ちょうど間に合った。国際社会が理事国一致して即応することに意味があるので、14日の制裁決議は内容はともかく歓迎すべき事態。もって国連のために、また日本独自の対北制裁が浮いてしまわないためにも結構なことです。

ボルトンがいみじくもコメントしたようにこの決議は核拡散防止条約をかいつまんで明文化したもの。それ以上でもそれ以下でもない。というのは軍事行動を含めないことは中露と協議するまでもなく、ブッシュとライスはそのつもりがないことを早くから明らかにしている。イラク決議ではこの軍事を仄めかしたためにご覧のザマになったのでもうコリゴリなのだ。対イランだって決議も部分的な経済制裁に限定されるだろう。

●石油・米、医薬品支援はOK
この国連決議1718はかなり長文でザっと読むとWMD兵器に加えて通常兵器の流通を禁止する具体案がいっぱい羅列してあり、贅沢品も禁止項目に入っているのは笑える。金将軍サマのお好きなワインや葉巻のことだろうか。で、石油とコメ食料や医薬品の輸出・支援はこの制裁に含まれず、こういう人権ジャンルと怪しくないビジネスは口座封鎖などの金融制裁から除外されている。

また、ハッキリ書いてあるわけではないが、北朝鮮が6カ国協議に復帰すれば解除されると中露は考えている。そういうわけでこの決議は中露に韓国も共同提案国に加わったのでした。ホネ抜き? いえ、そんなことはないので、ご承知のように武器以外にも麻薬や不法送金の口座凍結で北は困窮している。核実験の意図は米の金融制裁がセッパ詰まった果ての突破口なのでした。

●危なっかしい臨検
さて、問題は臨検。これはしても良いという認可であり、したがって実施するのはおそらくアメリカ軍用船だけだろう。中国やロシアの警備艇が本気で行なったりしない。日本へはもう北の船が入れないから問題なかろう。すると、米はまた世界の警察とかで孤立してしまわないか。当たり前だが、米軍の船が東シナ海をウロウロされて中国がうれしいことはない。海上臨検で確たる証拠がなくてイザコザが起こると、米は不利だ。

一方、北朝鮮はこの決議でどう変わるか、金体制の行くへは……。誠実に発言するなら『まったくわかりません』ですが、無責任に予想すると、北朝鮮はまだまだ持ちこたえます。中国とロシアはリンゲルを外さない。そして韓国はひと月もすればもういくらでもご都合に応じる本性に戻ります。安全保障としての支援もあるがビジネスチャンスの魅力はもっと抗し難い。(了)



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