安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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北の核実験、ミサイルに次ぐ失敗
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〈 Tue, 10 Oct 2006 〉


ごぶさた、仕事に追われカンヅメ状態から抜けられません。とはいえイケそうな感じがしてきたので一筆します。北朝鮮の核実験について:

●元も子も失った北朝鮮
威力はTNT半キロトン規模というから、それは不完全爆発とうことですね。核分裂連鎖が数パーセントで切れてしまった。前回のテポドン失敗の上塗りです。でありながらも、ノーリターンポイントである核実験をやった以上、取り返しはつかない。金正日体制の国際復帰のほうは完全に手遅れになりました

あちらでは「ついに成し遂げた歴史的成功」、どうだ見たか!と言わんばかりですが、技術的には諸外国から物笑いにされている。そういう侮辱に耐えられる金正日ではない。そこがツライところで近々2回目をトライしたいだろう。ま、もう一つ二つは持っているでしょうから。

●誇りがつまづく後進国の宿命
後進国は列強から対等に話し合ってもらえない、バカにされず肩を並べて相手にしてもらうためにデキルところを誇示しようとする。経済力がゼロの後進国は、コピーした科学と技術で安上がりに力を示せる核を保有するにかぎる。中国が最初に核実験をした時は、えーと60年代の末でしたが、あの頃の中国が輸出できのはプラスチックのおもちゃくらいで自他ともに認める後進国だった。そして世界は震撼した。

その後インドが実験、追っかけてライバルのパキスタンが実験を行い世界を震撼させた。そしてまさに世界をショックする事が目的であり、これで列強と対応できる条件ができたと錯覚するのです。いま北が、またイランが米に直接対話を要求して同じ事をなぞっているわけです。

もう一つは国威発揚で、中印パでの実験の日は国中がお祭り騒ぎでした。この点で今回の北朝鮮国民の反応はちょっと拍子抜け、月曜の平壌は普段と変わらなかった。前もって機関紙・労働党新聞に掲載された国威発揚の『叙事詩』に、国民の反応は冷ややかである。ニューヨークにいる北の国連代表は『おめでたい我が国の成功に世界は祝賀すべき』と、叙事詩の趣意にそった発言をラジオで聞いていて、なぜか恥ずかしかったな。感性の差はどうしようもない。

●準備にてまどう?
わたしは8日に核実験を行うとのロシア経由情報(4日)を確かだと思い、日中会談のころ今か今かと多忙中でもBBCラジオをかけっぱなしで聞いていたのにどうしたんだろう、訝っていたら夜中遅くに、ちょうど安倍さんが韓国へ移動中のころになった。実験は予定より少し遅れた。

いよいよ準備完了なった時点で中国とロシアはこれからやりますと通知され、胡錦濤はすぐに米日韓に報告した。でも『これから』ってのは事前通知なのか、事後通知とかわらんぞ。中国がムカっと、それでもすぐさま伝えたのは胡錦濤が自分の思い通りにできる体制がやっと整ったからだろう。江沢民一派が元気なときは日米に報告などできなかったはずだ。プーチンさんはドイツとの定期協議でメラケルさんとドレスデンに滞在中、報告と爆発がほぼ同時になったもよう。

●過剰国際世論にサーフする日米政府と隠れるフランス
胡錦濤は9日にブッシュに電話で落ち着くようにとりなしたという。たしかに世界は北の核実験に過剰反応とおもえる。インドやパキスタンの時に比べても非難が厳しく、国連安保は30分で非難決議に合意した。どうしてか、第一の理由はテロ組織との関係。欧米の報道にはアルカイダに核を売るのではと本気で考えている。第2は、韓国、日本、台湾が対抗上核を保有し、極東に有事が発生するというもの。

私は脅威と思わないのですが、しかも半キロトンの爆発力です。他国に迷惑がかからないよう国内の地下で実験し、放射能拡散に配慮するなどいじらしいくらいです。フランスがポリネシアの珊瑚礁島ムルロワで行った核実験はキノコ雲をあげる大気圏実験である。90年代までに100回以上実験している。現場は今でも放射能のため立ち入り禁止にされている。症状が出た島民はオークランドの病院にコッソリ運ばれているらしい。

だからフランスでは激した非難が少ない。それに比べれば日本や韓国、米英の対北世論はオーバーかな。ただ孤立化を強める北朝鮮にはイランと異なり味方がいない。中国とロシアも生温くなったので経済制裁を含む国連決議に可能性がでてきた。その意味ではポジティブである。(続く)



Pnorama Box制作委員会

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