-------- ---------------------------------- 秋の行楽(3) ------------------------------------------〈 Sat, 30 Sep 2006 〉
● 自然動物園 ダガリホテルから北へ湖の反対側にある谷から登ってゆくとランゲドラーグ自然動物園がある。人里から遠く離れた自然のまっただ中に、元牧場を営んでいた或る動物好きの人がノルウェーの野生動物だけを集めた動物園を7年前に始めた。TVなどで話題になっったりしたので、だんだん訪問者が増え、漸次拡張していまはペイしているそうです。なにしろ土地はいくらでもありそうな標高1200の台地だから、高いフェンスで囲った広い丘に放し飼いしている。いまも拡張建設中でした。 左:ロバとフィヨルド馬。お兄ちゃんは気持良さそうにロバに頬ずり、妹はちょっと得意でうれしそう……子供連れの夫婦が多い。危なくない動物の柵には、人間が入り口のカンヌキを開け閉めして柵の中に入ります。 右:山ギツネ、高地に棲み、低地の赤ギツネと棲み分けしています。そのせいかどうか、小屋の上や石の上が好きらしい。シッポが太くて立派なのですが、写っていなくて残念、日本でギンギツネと呼ばれている種類と同類、季節によって毛色が少し黒っぽく変化します。毛色がかわらない真っ白な北極ギツネは、現在本土にはいないようで、ここでは見られなかった。スヴァルバードか北極にいかなければ見られない。 山猫(ガウペ)。フェンスに沿って追っかけながら撮ったので、アミにピントがあってしまった。大きい。太り気味に見えるが敏捷な動き、精悍な面構えである。写真がボケているが、耳先に黒い毛が針のように尖っているのが特徴です。 下の2枚は放し飼いの野ブタが、山猫のフェンスにきたところ。シューッと威嚇する音、攻撃の片手を上げ、爪を見せる。野ブタもちょっと毛を逆立てるが、アミ越しの日常ルーチンとて落ち着いている。野ブタはキバがないので日本イノシシ違うのだろう。 どの国にもその国を代表する動物がきまっている。鳳凰とか麒麟とか想像の象徴もいるが、ノルウェーでは昔からヤギということになっている。ちなみに植物はエリカ、石はチューライトという赤い貴石。魚はサーモンじゃなくてタラです。さて、平らな牧草地をつくるのが難しい1000年の昔から、多くの農家はヤギの乳製品で暮らしてきました。ヤギと、フィヨルド馬は岩山、崖地を上手に登るので、バイキングたちは、ヤギを飼い、フィヨルド馬を農耕と戦いの馬に使っていました。 ノルウェーの童話にヤギがよく登場する。草屋根に登って最後の草を食むヤギの絵がよくありますが、ほんとに見たのは今回がはじめて。すごいジャンプ力ですね。羊さんはこのような芸当はおろか、岩場があるけない。 ●草屋根について この寒冷の国では茅葺きしようにもその種の長い草がない。近年まで小麦すら育たない国でしたからスレート石なんて高価で、しかも重いものは地方の丸太家屋では使えない。なので、屋根にまず白樺の皮を敷き、そのうえに土を載っけてておいた。その伝統アイデンティティーが好きな人は、今でもわざわざセカンドハウスや市中の家を草屋根にするにのです。動物園にはいろいろな建物、宿泊所やレストランほかすべてこの草屋根(Torvtak)で作られ、ちゃんと白樺の皮も敷いてある。もちろんその下にタールシートで防水してあり、4〜5年に一度は草土の取り替えや修理をするので一番高くつく屋根なのですが。 モスクス、英語ではムスク・オクス、和名はジャコウウシ。バッファローや水牛とどう違うのか知らない。この種の野牛は足が遅いので人間に獲り尽くされアメリカでも当地ノルウェーでも絶滅したはずだ。当地に野生としているのは近年アイスランドから輸入してそれが育ったもの。動物園にはいろいろな種類がいて、体つき、ご面相が異なる妙な野牛が4-5種類いました。左は雌のよう。右の写真:水牛のように角が尖っているので先をまるいプラスチックで固めてある。 オオカミです。一見セパードとかわらないがキツネ目と注意深い歩き方が野性的。下はエサの一塊を一番大きなボスが食べた後、数匹がやってきて取り合いする。そのときのうなり声が、こりゃもう犬じゃないわ。『グルゴロガー』という喉から出す威嚇音がやたらに大きく、恐ろしい。 その他、野うさぎがあちこちにいて、鹿やトナカイがいる。猛獣であるヒグマとクズリ(屈狸、イタチ科の肉食、北欧クズ種は犬ぐ らいに大きい)がいない。あれは穴を掘って逃げるからフェンスではだめなのだろうか?ガイドツアーが一日一度ありましたが、朝からもう5時間近く園内にいたので疲れて帰りました。よってわからないこと多々のころました。 遠方から車やバスでここまで来る人も多く、帰りの駐車場は満杯でした。また園内で糞掃除やかんたんな作業に従事している障害者を幾人か見かけ、団体客にも施設から保護者や先生、介護士に付き添われてきている知的障害者が多かった。馬に乗ったり、自然の中で動物と触れ合うことがよいテラピーにきまっている。が、それをこうやって日常に実行している社会はいいですね。(続く)
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