安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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続コズロフ、プーチンの叱咤訓示
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〈 Wed, 20 Sep 2006 〉


● 休暇中の別荘で緊急ミーテング
書きかけて所用多忙につき中断していた前回コラムの「その後」です。プーチン大統領はコズロフ殺害の日、ソチにいた。ロシア高官が別荘を並べる黒海の避暑地である。G8会議の開催ホストなど、夏休みがうまく取れなかったせいか、ソチでリラックスしていた。

しかしプ−チン閣下はモスクワであろうとソチであろうと、閣僚を呼びつけて緊急会議を直ちに開き、かつ実行グループをオーガナイズする権力を持っている。欧米民主国では絶対に出来ない早ワザだ。しかし、人選を人任せにしないことは独裁に通じ、知人側近の中から任命するネポチズムの弊害が大きい。

プーチンがダーティーバンク制裁のため、翌金曜日にソチの別荘に集めた面々は、中央銀行総裁、検察長官、内務相、それからソ連時代のKGBの流れを汲むFSB(連邦公安局)から金融情報の副局長、税務局の官僚。彼らを前に、金融機関はいまもなお犯罪に利用されている』、『毎月数10億ルーブルもの資金洗浄が行われ、『巨大な財政資源が海外へ流れている』と訓示した。プーチンが数人を集めて会議で訓示する様子は短いカットでよく放映されるが、威圧的で陪席する面々は神妙である。

●コズロフを消したい者ども
『悪徳銀行によって洗浄された金は、行員の給料に転用されるばかりか、政府官僚への巨額のワイロとして使われている。さらに、資金の一部はテロ活動と麻薬取引にも流れている』と、世間のうわさを確認する発言もあった。当然、コズロフの部下である中央銀行の調査官がワイロ攻勢を受けただろう。コズロフに近い内部の者が日程を犯人に漏洩した説がある。

たちまち20人ほどがFSBの聴取を受けた。コズロフ殺害の犯人に関しては、イズベチヤ紙が資金洗浄が発覚して閉鎖された特定銀行ふたつをあげて、関連する人物と推理している。輸出入の申告額を低くして税を安くする銀行の不正取引は、過去2年で1620億ドルもある(コメルサントの報告)。プーチンが怒るはずだ。

コズロフが最近不正銀行への締め付け強化した措置は、資金洗浄が発覚した銀行は半年の猶予期間から、一ヶ月で免許剥奪にスピード化した。また、洗浄に関わった銀行家は永遠に業界追放することを提案した。命をつけねらわれても退かない正義のシェリフみたいな人ですね。そんなコズロフを消したい犯罪者はウヨウヨいただろう。さてプーチン、コズロフの仇を取れるだろうか。(了)



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