安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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トンマな米大使館襲撃
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〈 Wed, 13 Sep 2006 〉


● ダマスクスに割拠する過激グループ
このままではすまない、米を標的に何か起ると思われた。ダマスクスの米大使館襲撃がそれだとすれば、テロ側は全然目的を果たせなかったことになる。米大使館員40名はかすり傷一つ負っていないのだから。

ダマスクスにはハマス武装派の指導部がイスラエルの暗殺を逃れて事務所を構えている。ここからガザのミリタントを煽って、もっとカッサムを撃て、自爆テロをやれと指令をだすのである。そのほか。いろいろなテロリスト・グループがプロットを練り、シリアのその筋から武器を得てパレスチナへ、レバノンへと搬出するとして米が容赦なく非難している。

その一方で、シリア政府の治安警察は反政府的な動きに敏感で、取り締まりが厳しく、米は市民を圧迫するアサド大統領の全体主義を非難し、民主化をいうものだから、シリア政府/国民と米政府の関係は米とイランに次いで悪い。しかしダマスクスの治安は悪くないので、米大使館ほかの在外公館は市内ほぼ中心にあり、引っ越ししないのは治安に心配なかったからといえる。

●アサドの全体主義と良好な治安
犬猿の仲のアメリカではあるが、大使館にはシリアの警備兵30人が常時配属され万全の体制を敷いている。皮肉なことに、このアサドの全体主義が米を救ったのでした。ライス長官が(大きな千鳥格子のスーツで、こんなのが流行りなの?)『我が国民の安全を守ろうと行動したシリアの人々にたいへん感謝しています』なんて、素直に礼を述べた。シリア人はアメリカに感謝されてアレッ?意外でしょうね。

ところで、この失敗した襲撃グループは車2台で米大使館に横付け、叫びながら門の両側に経っている警備兵に自動小銃を乱射し、手投げ弾を投げたが、すぐ加勢に反撃されて二人が逃げ出し、追撃されハチの巣にされたという。乗ってきた乗用車を自爆させたが、本番のボンブを積んだバンが起爆しなかった。おそまつ。TVにうつったバンの中の自家製ボンブは幼稚にみえました。

また。大使はずっと駐在していない。ブッシュはハリリ首相暗殺にシリア政府が関わっていたと抗議して、女性大使を召還したままだ。アルカイダなら大使のいない大使館をターゲットにしないだろう。予感:これは地元のグループに相違ない。(了)



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