安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ファイナルマッチ、アガシ男泣き
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〈 Mon, 04 Sep 2006 〉


日曜日のテニスUSオープン、アガシ3回戦目の相手はベンジャミン・ベッカーという早いボールを打つ若い選手。負けました。しかし腰痛の注射も効かないのか、鈍い動きのアガシが負け試合に最後まで死力をつくす姿は、いじらしくもあり、崇高でありました。第4セット勝負が決まったとたん、アナウンサーが『21年のキャリアが終わった、アガシ引退』と叫んでいる。

椅子に腰掛けタオルを顔にあてて、あれはもう泣いていたな。4分続いた2万3千人のスタンディング・オーベーションに感極まったか、マイクをとったアガシが、涙声で

“The scoreboard said I lost today, But what the scoreboard doesnユt say is what it is I have found. Over the last 21 years, I have found loyalty. You have pulled for me on the court and also in life. I found inspiration. You have willed me to succeed, sometimes even in my lowest moments. And Iユve found generosity.
“You have given me your shoulders to stand on to reach for my dreams, dreams I could never have reached without you. Over the last 21 years, I have found you, and I will take you and the memory of you with me for the rest of my life.”


と一気にスピーチすると、ワーと歓声があがる。スタジアムが一体となってエモーショナル。ま、そのときはわたしもTVの前で拍手しておりますが、アガシの言ってることは実にくだらん。陳腐でスタンダードの別れ決まり文句なのでして翻訳お断りしますが、こういうのがアメリカでは大受けするのです。

スポーツ選手は、引退挨拶や優勝の言葉を大観衆に向かって話す事が珍しくない。プロレスではマッチの前後、先日はタイガー・ウッズが亡父への思慕など長いグランドスピーチをやってのけました。あそこまでやると尊大だ。アガシのは内容はともかく、短くて声と身体の表現が真実を語っていてもらい泣きさせますね。

小生はスポーツ一般にオンチで、テニスももちろんよく知らない。強い選手では瘧っぽくマナーの悪い「マッケンロー」や、強いけれど嫌みなプレーをするサンプラスがいた。アガシだって審判に文句つけたり、相手をけなしたりするフツウに汚い選手である。チームプレーではないテニス選手はナマの性格が出やすく、それを見るのがテニスの醍醐味である。

しかしいま37才、古参になったアガシは、カムバックする努力、ベストを尽くす態度、堅くなった身体を補う知的なプレーに人間的な魅力がある。慈善にお金をつぎ込んでいるのは、冗談や気まぐれでないアガシのライフスタイルなのだろう。(了)



Pnorama Box制作委員会

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