安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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国連決議1701とレバノン決戦
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〈 Sun, 13 Aug 2006 〉


●イスラエル軍の条件付き即時停戦
金曜日、週末には決議されると先週から予想したようにレバノン停戦決議が全会一致で通過した。アラブ側から物言いの「即時撤退」をどう言う文面にするか、わたしはそこが興味津々であったのですが、文脈でゴマかしましたな。

Calls for a full cessation of hostilities based upon, in particular, the immediate cessation by Hezbollah of all attacks and the immediate cessation by Israel of all offensive military operations;

ヒズボラとイスラエルの両軍に「即時停戦」を求めながらもイスラエルには「攻撃的軍事行動を」という文節が付いている。では防衛的軍事行動ならOKなのか、そう解釈してよいのだ。なんていうか、不公平というより詐欺みたいだな。実際、国連レバノン代表のミトリは、一方が停戦して、他方が停戦しない停戦は停戦ではない!と、息巻いている。とはいえ、本国政府が了解し、土曜日に閣議で承認した。

レバノンがOKした理由は、前書きでレバノン政府の提示した7ポイントを評価し、国連軍の態勢が整い次第などと何時になるかわからない条件節が紛れ込んでいるが、イスラエル軍に「即時撤退」を要請している。一応アラブ側が欲しかった文言が入った。またレバノン政府が提案した政府軍15000の兵力を南部に展開する案が、それ頂きとばかり決議の重要部分になったことと、2項にあるように国連治安維持軍15000人とレバノン政府軍が編成されしだいイスラエル軍の撤退を要請すると、まがりなりにも完全停戦がカウントダウンにはいったことであろう。

●長文のレバノン決議
この決議録1701は珍しく長文で、配られたコピーは6ページもある。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4785963.stm
読めば読むほど判然としない文面だ。ヒズボラにイスラエル兵捕虜の釈放を言いながら、ヒズボラ捕虜については書かれていない。ま、レバノン決議は現在まで10もあるのです。1701もそのうちのひとつ、すぐに結果を生むような軌跡はおこらない。アナンは出来るだけ早く1-2週間をメドに両国が停戦日時の協議をはじめるよう言ったものの、土曜日になって停戦実施期限を月曜日05時GHと発言した。イスラエルでは土曜が安息日で日曜は普通の日、そのため決議の内閣承認は日曜になる。アナンとしてはすかさずオルメトにダメ押ししておかなくちゃ。

しかし、決議文にはヒズボラの攻撃がある限りDefensive軍事行動は良しと解釈できる。で、ヒズボラは決議を了承するとしながら、レバノン領土にイスラエル軍がいるかぎり攻撃は止めない。レバノン政府軍がいまから兵を募って南部に展開できるだろうか、国連軍の編成は?、いまだに兵力を派遣すると名乗り出た国はない。

レバノン内にイ軍3万人がいる。イスラエル史上最大規模の軍事行動である。イ軍は一部リタニ川まで進撃したが、決戦にあと一週間は欲しいだろう。1978年の紛争ではリタニ川まで一週間でケリがつき、国連軍に明け渡したものだが。(了)



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