安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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マルチ・クライシスの夏
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〈 Thu, 03 Aug 2006 〉


●暑いイラクの暴力エスカレート
今夏ほどグローバルに紛争・危機が発生する夏は覚えがない。イラクではスンニvsシーア宗派間の報復テロにより毎日50〜100人が死ぬありさま。ブッシュはバグダッドに米兵を増強すことでマリキ首相と合意した。かと思うとタラバニ大統領が年末にイラク軍が全土の治安を遂行する。米英軍は漸次撤退できるとなんともホンワカ楽天的な発言。いまのところイラク国軍が引き継いだのは日本自衛隊がいた安全地帯のムサンナ県のみ。ここだって2年かかってこぎつけたというのに、全土をあと5ヶ月でできるものかわ。

●グローバルに多発する紛争
キューバのカストロ79才が手術、経過良好といえカストロのいないキューバなんてもう共産キューバじゃない。米はちょっかいするだろうか、キューバ内政危機である。コンゴ、ソマリアでは紛争が再燃、スリランカでも政府軍とタミール独立軍が衝突、もうどこでも停戦が破れる夏となりました。

●熱波は暴力の触媒
暑さが暴力を噴出させるのはよく知られている。ロスやニューヨークで黒人暴徒が暴れ回ったころはまだ暑さが地球規模ではなかったが、今年は当地北欧でも真夏日和ですからね。毎夕1時間足らず、どしゃぶりではないが夕立をみる。当地の四季は日本人概念として春秋冬冬でして、夏はない。それが今年の暑さはどうだ、新聞広告や折り込み広にダイキン・エアコンが混じっているなんてことは35年この地に住んで初めての経験です。

フィリピン南東に発生する台風は春からはじまるようになり、先の台風では中国と北朝鮮で洪水被害が甚大でした。金正日ご愛好のアリラン祭りが延期されたが、地方のインフラが貧弱だから起った災害なので、雨量は九州の方が凄かったんですがね。

●わたくしごとの夏
さて、個人的にはこの好天日に仕事部屋なんかアホラシくて、毎日家回りで身体を張って労働しております。今日は家の北側の白樺を一本切り倒した。高さ20メートルくらいあるのでハシゴで登ってまず上部3分の一をチェーンソーで切る。足場がわるいので注意したつもりでも、落ちる木がスネにあたり、ウッ、打撲とスリ傷。めげずに続けて完了した。裸で汗をかくのは爽快ですね。胸の筋肉がつきハラがこころなしか凹みました。

国際問題をネタにコラムを書くようなご仁は、いろいろな会議や勉強会、講演したりその道の人と会ったり、それだけ直接情報が豊富である。ひきかえ私なんか本職が退職の余暇ぐらいで、郊外に住んでいると人に会うために出かけるのが億劫だ。車を運転しないので、家内に頼むにも限度が有る。ときたま知人に電話で尋ねたり確かめたりするくらいが関の山です。

そんな部外者でも多発するクライシスのそれぞれに言いたいことがあるのに書ききれないもどかしさを感じながら、まあ、好天の続く限り戸外の仕事に精だして汗をかこうとおもいます。

● レバノン情勢
安保理決議が予定の今週末が早くて来週末になる。ちょうどイスラエルのヒズボラ総攻撃予定はあと10日というイ側の言葉と符合する。しかし予定通り国境から30キロのリタニ川まで進撃して、制圧区域を多国籍軍移譲する計画が達成できるか、大いに疑わしい。病院まで拠点本部にするくらい手段をえらばないヒズボラを相手に勝てる道は、何度も繰り返しますが、レバノンの半分を破壊するしかない。それはしかし米英を含めて国際社会を敵に回す禁じ手、イスラエルがある限りハマスもヒズボラも不死鳥のように存続する。(了)



Pnorama Box制作委員会

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