安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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動き出した停戦の試み
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〈 Sat, 29 Jul 2006 〉


●イスラエル当局と現場指揮官の乖離
レバノン攻撃は17日、今月も跡残り少なくなった。レバノン側は死者600人と数えているが、西側メディアは450人としている。大半が民間人であることにかわりない。いずれにしても18日のコラムで先読みしたように、>南部の民間人巻き添え犠牲者が500人近くにのぼったとき、ちょうどイスラエルが総攻撃を小休止する頃の今月末から来月にかけてライス調停が本格化する。<そういう成り行きだ。

しかしイスラエル側の死者51人、うち兵士が7割とは予想外。そんなところからイ軍は見境いのない攻撃に走ったようだ。国境近い国連監視建物を空爆したのは、誤爆ではなない。ロケット砲がいくら射っても命中せず、戦闘機がやってきてミサイルで爆破した一部始終を映像で見ると、故意としかか思えない。アナンの状況解説にあった監視員とイ軍と当局との6回に及ぶ電話交信にもかかわらず、現場はまったく反応していない。監視員が連絡を取るイスラエルの当局から現場の司令官へ、明らかに情報が通じていない。アナン今回の非難は至極当然。

国連の監視ポストはいくつあるのか多分二つ三つだろう。どれもヒズボラ兵がすぐ近くにいる。そんな危険なところで非武装のまま駐留させる方も、またする方も尋常ではない。レバノンにいた数百人の国連関係者は殆ど国外へ退避した。死亡した4人はそれぞれ国籍が異なり、派遣国は強いてコトを荒げなかったが、中で中国が猛然とイスラエルに食ってかかりましたね。いかなる理由かとても熱心に安保理に非難決議を求めました。が、米の反対でイスラエル非難抜きの声明になったものだから、中国は憤懣やるかたない風情。中国はその調子で北朝鮮に食ってかかってもらいたいですね。

●動き出した停戦の試み
さて、またしてもジっとしておれないブレアは電話じゃまだるっこい、ワシントンに飛んで動かないブッシュをプッシュ。二人は記者会見で多国籍軍の早期派遣とそのための安保理決議を急ぐ、そのためライス長官がASEANからトンボがえりで再度中東歴訪する。この多国籍軍派遣は先だってのローマ会議で同意したことを再確認したにすぎず、ライスの中東再訪問も予定の日程だ。多国籍軍参加に名乗りを上げた国はなく、ヒズボラが停戦を守ることがPKO派遣の前提だから米・英もおいそれと明言できない。したがって目新しい内容はなにもない。

もう一人、一所懸命人間のヤン・エゲランド人道緊急援助調整官は72時間休戦を呼びかけた。その72時間に、南部で逃げ遅れた民間人、けが人、老齢者などを国連コンヴォイが安全な北部へ移送するというアイデア。とにかく死者、重傷者の半数は子供というから、人道上黙っておれないエゲランドは国際ニュースTVに進んで出演するのです。聞いていると、次のようにけっこうにキツイことも言う: 戦いはマンツーマンでやれ、女・子供を殺すのは最低。市民に紛れ込むヒズボラは卑怯。

72時間休戦の仲介をイスラエルとレバノンの国連大使を介して行っている。ヒズボラへはレバノン国会議長のベルリを通じて間接的に交渉するしかない。靴の外から水虫を退治する如し。現実性はあやしい。(了)



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