安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ブレアの停戦プランとライスの調停
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〈 2006年 7月 18日 火曜日 〉


●国境緩衝地帯をイスラエルが提案
イスラエルが総力攻撃に出る時は、一週間から3週間ぐらいでひと月を超える事はこれまでなかった。パレスチナ、ヨルダン、レバノン、エジプトなどと建国以来通過してきた戦闘は停戦に至らなくても数週間で攻撃を控え、様子を見るのが定石になっている。今回、6日目の月曜日でヒズボラ軍助力の30%を破壊したとされる。イスラエルは攻撃停止の条件に「レバノン正規軍を国境地帯に配備」してヒズボラを後方に押しやることを、当初からの主張である拉致された2兵士返還とロケット発射停止の2条件に付け加えた。

いわば緩衝帯構想である。ただお粗末にもレバノン政府にヒズボラを説得する力量はない。そこで何かしなければ気が済まないブレアが国連リードによる多国籍軍をこの緩衝地帯に送り込み実力で停戦させる構想をアナンにけしかけたのですね。ブレアの考えではヒズボラは国連軍の頭ごなしにイスラエルへ向けてロケットは撃てない。そうするとイスラエルも攻撃を続行する根拠がなくなるという論法。いつも論法通りにいかないブレアのアイデアですが、積極的な馬力は凄い。

アナンは拉致兵士の解放と、双方の攻撃停止がそろってから国連維持軍を派遣する言い方で同意した。そうでしょうとも、現在レバノンに駐留する多数の国連監視団は何をしているのか、危険だからというのでアナンは撤退を考えている情けなさ。イラクでも大所帯の国連代表部は真っ先に逃げ出した国連がなにをか況や。

●筒抜けだったブッシュとブレアのお喋り
G8昼食休みの議場でマイクが入っているのを知らず、ブレアとブッシュのアンちゃん風会話が流れた。ナマの人間が伝わって実におもしろい。ちょっと拾い訳しておこう。
ブッシュ;コンデイ(ライス長官)がもうすぐ(中東へ)行くと思うよ。
ブレア;そうか、そりゃいいね、これには時間がかかるから(早い方が良い)。彼女だってやる限りは成功しなきゃ、わたしも行って話してみるけど。
ブッシュ;これはね、皮肉な事に、シリアにヒズボラの糞ったれの(ロケット撃ち)を止めさせるよう話をつけることだ。そうすりゃすべて片付くよ。
アナンについてブッシュ;彼の態度は基本的に双方停戦だよ、あとはどうでよい(立場だ)。
ブレア;本当に難しいことは(紛争地での)国際的な存在に同意しなければ紛争は止められない、そう思うんだ。
ブッシュ;それからセーターをありがとう。とてもご親切さま、あれ自分で選んだんだろ?
ブレア;え、そりゃそうだよ。
G8サミットのトップたちの発言についてブッシュ;おれは皆のように長く話しなないつもりだ。こいつらの何人かは長く喋りすぎるよ。帰らなきゃ、今夜だって仕事があるんだ。

●ライス調停の時期は7月末?
ということでライス長官は一足先に帰ったとたん、調停に中東訪問の根回しに忙しくなった。でも早くて一週間はかかる。私の予想は、外国人の出国が一段落して、イスラエルがヒズボラの軍事施設を半分以上破壊し、南部の民間人巻き添え犠牲者が500人近くにのぼったとき、ちょうどイスラエルが総攻撃を小休止する頃の今月末から来月にかけてライス調停が本格化する。

話はかわりますが、ヒラリー・クリントンはブッシュ以上に親イスラエル、イスラエル支持と防衛の演説をしました。あの強い調子は次期大統領が年頭にある。(了)



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