安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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戦火広がる中東
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〈 Fri, 14 Jul 2006 〉


●逸脱する50+100倍の報復攻撃
ハイファが海からヒズボラのミサイル攻撃を受けた。イスラエル軍は陸海空を動員してレバノンを攻撃している。シリア軍が去ったレバノンでは、イスラエルがヒズボラを攻撃しやすくなっていた。

イスラエル兵をテロ組織が拉致すればどうなるか、国連もテロ組織と認定しているヒズボラが生き残ったイスラエル兵2名を拉致した結果はごらんのようにミサイルの雨だ。ハマスがイスラエルの若い兵士一人を拉致したがためにガザ地区がどんな報復にあったか、反イスラエル武装派のガチガチ頭はますます頑に墓穴を掘るばかりか、ハマスはパレスチナ国民に、ヒズボラはレバノン国民にイスラエル軍による莫大な被害を招いている。

こういうと、イスラエルが一方的に悪いではないか。石つぶてに軍隊で応じる狼藉は許せないと平和を願う良識人が騒ぐ。実際、およそ50〜100倍の死者とインフラ破壊で報いるイスラエルにやり過ぎを非難し自粛を声が圧倒的である。

●巨大報復を招く愚行
私もそうは思うが、ハマスの場合、拉致した一人の兵士さえ解放すれば、ガザ再侵攻はなかったし、パレスチナ内務省、昨日は外務省にミサイルが炸裂することも水道、送電網が破壊され、ハマス幹部が家族もろとも次々に殺される事態も避けられた。それよりまえ、イスラエルとの共存さえ認めればいまごろ和平交渉がトントン拍子に進んでいたはずだ。ハマス指導者がこんなにも石頭とは思わなかった。中東の30年をかなり注視してきた筆者だが、イスマイル・ハニヤ首相を見誤った。痛恨の失望である。

●小泉首相の蜃気楼的平和プロジェクト
G8に先立ちブッシュは13日、ドイツでメラケル首相との共同会見で「どの国もテロから自国を守る権利がある」という言い回しで熱心にイスラエルを弁護した。国連安保理でもイスラエル非難決議に米だけが拒否権をちらつかせ反対し、今日に至っている。ブッシユ米の度過ぎた親イスラエルは困るが、そんな中、小泉首相はアッバスと並んで儀仗兵を閲兵、パレスチナ人民へ直接援助を増やすと申し出た。また、ヨルダンのアブドラ国王にはヨルダン、イスラエル、パレスチナと日本の4カ国協力による農業開発『平和の回廊』を打診して喜ばれたとご満悦。バクダンの落ちる所に……そんなもの出来っこないアソビとおふざけ、砂上の楼閣ですよ。

●読めないゲオポリチックに跳ね上がる原油価格
ヒズボラには石油産出国のシリアとイランから資金と武器が流れているので、たちまち原油は77ドル/b(NY)に跳ね上がった。レバノン攻撃は反イスラエルテロの連携を強め、イスラエルはシリア攻撃、はたまたイランの核開発施設爆破にエスカレートするやもしれず、ゲオポリチックは先が読めない。100ドル/bになったときのこゝろづもりをしておこうか。(了)



Pnorama Box制作委員会

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