安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ボンベイ、通勤帰りのボンブ
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〈 Wed, 12 Jul 2006 〉


●10分間に7つ爆発、死者170人以上
イラクでも起きなかった特大の爆弾テロがムンバイ(ボンベイ)で炸裂した。ムンバイはインド最大の過密都市、それにしても毎日の通勤に鉄道を利用する人口が650万人もいるとは驚きだ。ムンバイ市内に600万人が毎日流入し、流出する。そんなラッシュアワーの混雑にバクダンを仕掛けられたらたまったものではない。インドの発展する経済の中心ムンバイを担うビジネスマンは、ヒンズーであり、テロボンブの標的に優先されたのは一等に乗るホワイトカラーのヒンズーだった。

犯行声明は出ていないが、はイスラム過激派の「ラシュカレ・トビア(純正兵士)」と「ジャシュエ・ムハンマド(ムハンマド軍)」、それに「学生イスラム運動」(ISMI) が加わった仕業とインド各紙は伝えている。このイスラム過激派はムンバイのあるマハラシュトラ州で活動しパキスタンを拠点にするところからアルカイダと関連があるのは確か。

●責められるムシャラフ
ジャンム・カシミールでもムンバイに後続するように手投げ弾の連続爆発があり、インドはテロの温床パキスタンのムシャラフにもっとしっかりテログループを取り締まれと要求せずにおれない。西の隣国アフガニスタンからはカルザイと訪問中のラムズフェルドに国境警備がなっとらんと責められたところだ。テロに越境出動するアルカイダやタリバンを野放しにするなと、えらそうにパキスタンを非難するカルザイも国内各地のタリバンにだらしないのだが。

●攻撃のイスラム、忍耐のヒンズー
マハラシュトラ州の内務省は鉄道テロ情報を掴んでいたが、日時とどの路線、駅が攻撃されるかがわからなかったので特に市民へ警告しなかったという。なんとまあ鷹揚なことよ。しかもテロ被害者のヒンズーがイスラム住民に頭突きのひとつもお返ししない。無抵抗ガンジーのインド哲学かしら、インドは奥が深い。

鉄道はすでに大方開通し、明日から650万人の無防備通勤ラッシュが何事もなかったかのように再び始まるだろう。インドの「経済タイムズ」紙によると金融市場への影響は限定的で海外からの投資は減らないなと強気である。でもまた同じ規模のラッシュアワーテロが起こらない保証はない。(了)



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