安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ノーマン・ミネタの辞表
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〈 2006年 6月 24日 土曜日 〉


親愛なるブッシュ大統領

貴下の運輸長官として生産的で意義深い仕事が5年以上を経たいま、私は別の目標に移るときがやってきました。この結論に至まで困難ではありましたが、貴下に2006年7月7日付けで辞任の意を表します。

私は公務の全経歴を運輸問題と取り組んでまいりました。いま40年目に入ったところです。貴下は党の違いを超えてこの分野の国家政策を預かる閣僚という高い名誉を私に与えてくださいました。ご承知のとおり、私はこの課題が好きで運輸に関して情熱をもっています。貴下と仕事をともにすることは、特に貴下の全面的支援と信頼を得えたおかげで、この上もなくやり甲斐があり、喜ばしいことでした。

------------(中を全部とばして最後の文章)-----------

大統領閣下、私は我が国政治の歴史上、困難で手腕の問われるこの時代に貴下と労をともにしたことを特に誇りに思います。今日、思想・党派のミゾが深まるなか、政治の議論において礼節が欠けると取りざたされています。この対立は政府のあらゆるレベルで、さらにワシントンDCで最も顕著です。このような話やそれにまつわる懸念に利点が無い訳ではありません。しかし、私たちが2001年1月2日、オースチンにて最初の話し合いを持って以来、まさにこの日まで、貴下は民主党員である私を大いなる敬意と礼儀正しさで対応されました。貴下と大統領夫人はデニと私や家族にとても親切でした。所属政党の違いは政策、市民サービスの尊さといった価値観に、必ずしも対立するものではないことを貴下と私がささやかではあるが実証した、かように思いたく存じます。

互いの信頼と理想の共有によって培われた間柄、そしてはかりがたい親愛の情のうちにあって、謹んでこの辞表を提出いたします。

                      Sincerely yours
                      Norman Y. Mineta


訳を飛ばした部分は手紙の半分以上あるが、簡潔に成果を振り返り9.11 以後の航空セキュリティー措置や、ハイウェイ6年計画の巨大財政を議会通過させたこと、イラクとアフガニスタンに職員を派遣して運輸インフラ建設に尽力したことなど、スタッフへの賛辞も多い。

運輸省は6万人の大所帯である。ここで5年半、背骨を手術後、病院と自宅から執務していたにもかかわらず、辞めろといわれないなんて、ただごとではない、いやただものではない。クリントンの商務長官から民主和党でありながら、ブッシュ共和党政権で二期目も運輸長官に選ばれた。能力もあるが不思議なくらい高潔な人物、日系米人の誉れとはこのひとのこと。

ミネタ議員で一番思い出されるのは、米政府に戦時中の日系人収容を謝罪させたことだろう。日米開戦とともに日系のミネタ家族は財産没収、収容所送りになる。ノーマン・ミネタ10才のときである。下院議員のときミネタは米政府に日系人12万人の収容を謝罪し、生存者各人に2万ドルの補償を働きかけ、実現させた。市長だったサン・ジョゼの空港はミネタ空港というが、これは運輸長官就任前だから職権乱用ではないので心配無用です。(了)



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