安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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押収された悲観的なアルカイダ文書
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〈 2006年 6月 19日 月曜日 〉


●5万人の軍隊をかいくぐるテロ
ブッシュがイラクを電撃訪問して帰国後明らかにしたように、バグダッドの治安維持にイラク軍と警察5万人を15日に投入した。ザルカウイの後継が報復テロを宣言したので先制パトロール作戦である。米主体の多国籍軍7200人がこれに加わる。

ところが5万人の治安作戦にもかかわらず、16日に連続爆弾があり、17日には検問所に車爆弾や、こともあろうにアーケードの店舗街で仕掛け爆弾が炸裂、等々40人以上の死者が出た。そのうえ米兵のいた検問所では一人が死亡、二人が行方不明。拉致されたのだろう、米には大ゴトだ。

●5分前にブッシュ着陸を知らされたイラク首相
マリキ首相にブッシュのバグダッド訪問の知らせが入ったのは着陸の5分前。いくらなんでも非礼極まりない。ま、それだけ治安が悪いってことです。皮肉にも、テロの防御は万の軍隊で家宅捜索とパトロールをしても防ぎきれないことを実証してしまった。

●自問するアルカイダ文書
反乱テロに対しては、隠れ家や武器保管場所を急襲するのが最も有効な方法だ。そのことがザルカウイの隠れ家から押収された文書、情報の『でっかい宝物』と呼ばれる文書の内容が17日公表され、WPに要約が書かれている。米とイスラムを衝突させるテロ画策のアイデアなどハデな一面もあるが、テロリストたちは自分たちの将来を内心では悲観的に見ていたのでした。たとえば次のような箇所(自らを抵抗運動と定義している):

「時は米軍有利に動いており、抵抗側の損害が大きい」。
同盟軍がテロリストの抵抗に勝利した事例をあげて「大規模逮捕作戦と抵抗の激しい地区への掃討作戦により、多くの活動家を失った」。
「抵抗派に反対するメディアキャンペーンによって、国内影響力が弱くなり、住民の益よりも害になると思われている」。
「抵抗のための支出が切り詰められ、武器弾薬の没収による士気の低下が見られる」。

これじゃ嘆き節だ。ということで、イラク民主化への道は漸進している。失敗などとんでもない。ブッシュの人気は哀れだが、不支持率がこぞってブッシュのイラク政策を批判しているのではないことに留意。(了)



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