安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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テンション上がるイラン
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〈 2006年 6月 12日 月曜日 〉


● イラン17年の政治的空白
イランのホメイニ師が死んで17年も経過してたのですね。そのあいだ、ホメイニ師からハメネイ師まで、宗教最高指導者に寄る政治はまるで変化していない。イラン空白の17年だ。そういえば天安門事件も17年前、以来中国の民主化は……これまた空白の17年といえる。

イランは核開発を各国固有の権利とし、核爆弾を製造しない平和目的に徹するという。ウラン濃縮度は核を作れない薄い濃度に限定するという。で、それなら安全確認のためIAEAの査察を受け入れれば、一件落着。なんの問題も起らない。日本はそうやってウラン濃縮をおこない自由に原発を建設しているのですから。

しかし、イランは頑強に査察受け入れを拒むので、疑われるのは当然だ。『やましい所は無い、査察オーケー』とさえ言えば済むことなのに、言わない。メンツと言いなりにならないゾ!という幼稚な強がりの故である。

英仏独の共同提案に英仏露中のUN常任理事国が賛同した提案に、ハメネイ師は「あれが世界を代表する意見とはおこがましい。イランの核政策に賛成する国は多数ある」と一蹴した。けれども、先週金曜日にブッシュから解答期限を「月ではない、数週間中」と7月中旬をメドにダメ押しされ、しぶしぶ動き出した。

ムバラクに「いい加減にして話し合え」と忠告されたことと、G8ホスト国ロシアが支持を渋り出したことが重なって軟化したとおもわれる。時間稼ぎのスパンを使い果たしたので対案を出すところまできたが、あくまで窓口の外相ムタキが役回りをしているのであり、国内的にアフマディネジャフ大統領はメンツを失うようなマネはしていない。最終的に『我がイランの提案を米に呑ませた』と、言いたいのネ。

● イランの対案は経済制裁を招く
対案がどんなものか、見返りインセンティブの高い西側提案に不足はないが、ウラン濃縮の、それが低%であろうと計画放棄が必須の条件。ところが対案では到底この条件を認めないにきまっている。米は期限を切ってしまった以上、何らかの行動に出なければブッシュのメンツがたたない。制裁措置は米英仏独と中露のミゾを広げるが、必ず実行するだろう。

経済制裁は秋頃か。海外資産凍結は北朝鮮で効果が証明されたように意外に破壊力がある。一方、イランはホームズ海峡封鎖という伝家の宝刀がある。武力衝突のテンションがいちばん高い場所である。

イラク、アフガニスタン、パレスチナは相変わらずキナ臭いが、一応想定内の連続性として捉えてまだしも部外者は平気でいられる。だがイランは大いに気になる。イランの軌跡は未知の危険に弧を描いて接近しているのです。(了)



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