安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
イラク新政権、英国仕込みの大臣たち
------------------------------------------
〈 2006年 5月 23日 火曜日 〉


●ブレア、イラクを電撃訪問
22日、ブッシュはシカゴでレストラン業界の集まりでイラク新政府帆発足を歓迎し持参する演説をおこなった。その間、ブレア首相はイラク新政府を電撃訪問。こちらの方が迫力ある。4月初めにジャファリ前首相辞任のダメ押しに米のライス長官と英のジャック・ストロー前外相が手を携えてイラクを電撃訪問したが、そのあとマリキが首相に選任され、バッチリジャファリを追い出す成果をあげた。4月下旬にはライスとラムズフェルドが手を携えずに個別に電撃訪問し、組閣をしっかりやれと激励している。ブレアはそれに刺激された部分もあろう、意地悪にいえば落ち目労働党のブレアとしては得意になれるいいチャンスである。

電撃訪問といってもバグダッドへ首脳が降り立つには電撃訪問しかないわけで、それも常の大型専用機でなく小型ジェットである。で、ブレアが持ち上げるマリキが、冴えないノンカリスマで、ウダツの上がらないまま窓際おじさんになった印象が拭えない。経歴はサッダム政権に抵抗した人らしく、地味だが挙国一致政権の長として適任と思える。ヌリ・マリキ首相はポスト・イラクのすべてに関わり、それだけ米英と繋がりができたが、如何せん英語ができないので(亡命先はシリア)これまで首相候補に米英が積極的に動かなかった。こういうところが米英為政者の愚かさである。

新内閣の重要ポストである内相(治安担当)と国防相が先延ばしになり、テロ続発が深刻さを増している。そうはいっても、徐々にイラク治安部隊が強化されイラク自立プロセスが完了した進歩が、自爆テロをメインにする反乱武装派より明らかに勝っている。

●英のグローバル戦略、人材輸出
さて新閣僚を眺めると、留任・横滑りが多いのですが、共通点がある。と、FTが目の覚める記事をあげました。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,7374-2192230,00.html
閣僚中、最も注目される知名人5人がイギリス帰りという事実。ブレアがお祝いに駆けつけるのに納得できました。亡命難民として、英の大学で学び10数年をイギリスで過ごした共通項がある。イギリス住民は不法移民でない限り、だれでも安い費用で大学に行ける制度が整っているので、思わぬ良い結果を世界に輸出してきた。英が深く潜行するグローバル戦略の一環である。

簡単に紹介すると:
バルハム・サリー国家安全保障担当副首相。クルド、ウェールズ大卒。
フセイン・アル-シャリスタニ石油相。シーア、サレー大学講師。
ホシア・ゼバリ外相。初代から外相、クルド、在英24年、エセックス大学卒。
ファウジ・アル・ハリリ工業相。ブリティッシュ航空に16年勤務、支店長、
ラティフ・ラシード水資源相。マンチェスター大学工学博士。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る