安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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メルケルが中国に行く時
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〈 2006年 5月 21日 日曜日 〉


●メルケルのドイツ右へ大きく旋回
ドイツのメルケル首相が先週、2度目のブッシュ訪問につづいて今度は中国へ初めて訪れる。ブッシュは前任シュレーダーを裏切り者としていたから、メルケルさんとは政策だけでなく生理的に合うようで、2度目は国賓待遇でした。イランやパレスチナ政策で二人は一致、米が国土を破壊したドイツと日本の首相といちばん仲良しとは……歴史はまことに数奇なり。

メルケルはロシアのプーチンと首相就任直後に会い、欧州首脳をひとまわりして、イスラエルまで訪問している。で、中国は意外に後回しにされた。前シュレーダー首相が中露ベッタリで、中国へは計六回も訪問しているのに比べると、やはりドイツ外交は政権が変わってから大きく右旋回していた。対中武器輸出解除は米と歩調を合わせて反対、民主化とか人権をやんわり「いかがですか」と持ち出しかねないメラケル首相は当然、中国に喜ばれません。経済の方は日中関係と同じで独中経済関係は順調であり、特にテコ入れするためだけなら胡錦濤に会うまでもない。中国は対独政策を見直し、同時に中国の対日姿勢がゆらぐ要因になる。メルケルさんよありがとう。

●シュレーダーが利用し煽った反日
シュレーダーは中国首脳が吹聴する日本の歴史歪曲に口調を合わせて、ドイツは違う、過去の大戦とユダヤ人虐殺を世界に詫び、平和な関係を再建したと狡く利水し、その言が気に入った中国はドイツの国連安保理入りに賛成し、日本は反対、ドイツを見習えと攻めまくる。これって、シュレーダーの垂れ流したライバル日本への数々の悪行のひとつです。

そのドイツが今どうなっているかというと、イスラム不信がじわじわ広がり、イスラム系への寛容が減少、イスラム住民と平和共存していると答えたドイツ人は8%に過ぎないのです。いわゆるドイツの謝罪はナチズム・ヒットラーを悪玉に丸投げしただけでしょ。大戦生き残りの老ドイツ兵士は終戦記念日になると勲章つけて街を行進する。祖国に忠実な一兵士は褒められても懺悔する意思などもってのほか、ドイツで一億総ザンゲは起らなかった。

●ネオナチは消えず
いまドイツでのワールドカップに人種暴力の赤信号が出ている。ネオナチの極右過激グループ、ジャンパーにスキンヘッドスタイルがまたぞろ活動、つまり人種差別暴力事件が問題になっている。(Bild am Sonntag)一方で日本はいたって平和である。ベルリンや、元東ドイツの都市では、黒人no-go zone,
立ち入り危険ゾーンとレッテルを貼られている区域があるという。(Der Spiegel) そんなところへ中国人旅行者が入り込めば暴力被害を受けます。それでもドイツの戦後処理を讃えますかな、胡錦濤さま。(了)

22日後記:胡錦濤は今回メルケルに会わない日程、昨年秋に胡錦濤がドイツを訪問、メルケルと会談しているからもうコリゴリなのかも。今回は温家宝首相の招待ということで、独中の経済協力と文化・スポーツ交流に関する19の協定書にとサインを交わしてシャンシャン。中国の公式報道は例によって友好を唱い上げるが、あまり力が入っていない。メルケルさんはこのあとドイツの技術で完成した上海リニアに乗る。上海市からプードン(浦東)空港まで5分余りの路線、騒音と揺れがキツく、既に地盤沈下が始まったといわれる問題児である。



Pnorama Box制作委員会

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