安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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スウェーデンが初めて迎えた日本の首相
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〈 2006年 5月 5日 金曜日 〉


●スウェーデンから見た日本の高い評判
木曜日、小泉純一郎首相が日本の首相としてはじめてスウェーデンを訪問しました。なにせ日本の首相がやってきたのは初めての出来事ですから、かなりニュースになっています。と言っても当地ノルウェーではまったく音沙汰なし、デンマークも同じくまったく報道していないので、厳にスウェーデン内の物珍しい出来事でとして書いています。北欧の首相はしばしば日本に出向くが、返礼訪問が滞る。今回もあまり失礼にならないうちにということだろう。だったらフラッシュ訪問などと書かれないようパっと来てパっと帰らず、一泊二日の礼くらい示してほしかった。

コイズミさんは評判がよい。でもそれは日本に対する一般的な印象がよいからで、コイズミさんだからってことはないのですが、ほめられれば嬉しい。スウェーデンの東京特派員が人気凋落の首相という見出しで、野党の批判そのままの如き紹介記事を書いていたが、ストックホルム各紙の報道は明るく軽やかな記事が多い。というのも、たいした議題があるわけでなし、ヨラン・ペーション首相との会談は1時間だけ、通訳を通してだから正味30分。失礼じゃないかしら。せっかくだから昼食会を予定していたが、小泉さんは断った。あとでグスタフ国王に謁見し私的昼食会をともにするそうです。

首脳会談に先立って、幼稚園を訪ね、写真のように園児と落下傘遊びに加わったりしています。(Photo: Dagens Nyheter)


かねがね興味のあるスウェーデンの幼児教育と老人福祉の様子を見、スウェーデンへの自慢にサービスか。小泉首相とプレス声明にあらわれたペーション首相は、長い景気低迷を乗り越えた日本の活力を讃え、世界のベスト製品を生み出している日本から その生産力、質、デザインなど多いに学びたい・・そんな風にお世辞でなく羨ましそうに記者団に語っている。ホントは日本から1.5倍の輸入超過なんですが。また、ペーションは左派(社民党)であるが、郵政民営化にはいたく感じいっている様子で保守小泉に一目置いているようだ。

● 日本の国連安保常任理事国入りは?
小泉さんはガーナ、ケニアでは日本が常任入りすることに支持を得たが、アフリカの国連政策はアフリカ連合で意思統一するので、個別に約束を得ても確約ではない。北欧もしかり、対国連政策は北欧4カ国が足並みをそろえる場合が殆どで、国連改革推進、常任国については現在の世界を反映していないとして、アフリカ、南米、アジアからもまんべんなく代表国を出すというのが北欧の立場である。日本の常任入りに反対ではないが、各大陸からの参画を基本にしているので、ペーションから積極的な支持はなかった。

できれば小泉さんが短い声明だけでなく、スウェーデン記者が望んだ記者会見を開き、日本の国連貢献について、財政的な分担金や活動の面を説明すれば前向きな論議を呼んだであろうに、残念。わずかの努力なんですがね。

もうひとつ、拉致問題解決をお願いしたのは、スウェーデンが北朝鮮と国交を持っているから……でしょう。北と国交を持つ西側国は多いが、どれもふつうの外交関係とは言い難く、影響力はない。(了)



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