安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ムンク泥棒に138億円弁済の判決、
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〈 Wed, 03 May 2006 〉


●138億円の罰金
ムンクの代表的絵画2点がオスロのムンク美術館から盗まれたのを記憶している方は多いだろう。開館してまもなく、マスクを被った二人組がそばにいた観客を拳銃で脅し、床に伏せておいて、悠々と「叫び」と「マドンナ」の2点を壁からペンチで留め金を外し持ち去り、外で待っていた仲間の車で疾走。この事件は2004年8月のできごと。警察は6人を起訴、その判決が火曜日にあり、3人に有罪、残りの3人は無罪が言い渡された。有罪の3人はそれぞれ8年、7年、4年の服役が決まった。で、そのうちの二人に750ミリオンクローネ(約138億円)を14日以内にオスロ市に弁済せよとの判決である。

払えるワケない。法的には弁済額を明示しなければならないので付け足したに過ぎないようなものである。当地のドロボーたちはなかなか口が固く、2点がどこにあるか絶対に言わない。被疑者の権利が強く、弁護士が睨んでいるので警察は手荒な尋問ができない。

●口が固いドロボーたち  
別の事件ですがNOKAS事件というこの国最大の銀行強盗があった。こんな大胆不敵な銀行襲撃をのるうぇーで組織できるのはあの男しかいない!なんて警察はよく知っていて、十数人の一味を検挙し、全員に厳しい判決が出た。で、この件も強奪した大金の使い道、在処はまったく白紙である。全員が白状しない徹底ぶりである。この事件では警察官がひとり射殺され、その犯人も仲間はいっさい喋らなかったが、判決が出てから不公平に厳しすぎると感じた一人が、警官を射殺した仲間を名指しした。そういう解明の仕方もある。

盗んだムンクの2点がいまどこに隠してあるかについては、有罪の3人すべてが控訴しているので、いまのところ喋るつもりはなさそうだ。いったいどこにあるのか、隠し場所を頻繁に変えているようで、かなり損傷していると思われる。作品が外国に出た気配はなく、ほぼ確実に国内にあるといえる。いつか出てくるその時は、ムンクまた人気があがります。

先日、ベルゲン美術館でムンクを見た時は、ダーレもお客さんがいなくて、警備員がわたしの後ろを行ったり来たりしておった。ここに「マドンナ」とおなじ表情の大作「嫉妬」がある。(了)



Pnorama Box制作委員会

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