安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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現代・起亜モータース鄭父子の躓き
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〈 Fri, 28 Apr 2006 〉


●韓国輸出の10%を占める現代グループ
HYUNDAIグループ、KIAモータースといえば、韓国を代表すること、一番の国際企業である。この辺りでもよく見かける乗用車で、コマーシャルも盛ん。KIAのコマーシャルは韓国製をヒタ隠すかのようで、韓国製というにおいはまったく消している。

ヒュンダイの総帥であり、会長の鄭夢九(チュン・ムンクー)に逮捕状請求が出された。これはニュースバリューがある。ヨーロッパでは確実に売り上げに影響が出る。とはいえ、輸出先で大きい国は東南アジアや中東というワイロや裏金に不感症の国々なので、総体的には影響少ないかもしれない。また米の代理店などは、会長が不正資金で逮捕されることと車の品質は関係ないと割り切って、平然としている。たしかに米の消費者は、安い中国製品がいいので輸入超過なんて関係ないというさばさばした合理主義である。しかし一歩間違えばガタンとくるので要注意。

●イナバウアーからアンモナイトへ、儒教的変身
韓国ではパニックです。財界、産業界、政界に最も影響力のある鄭夢九の逮捕は、その急効果がはかりしれないほど、ショックだろう。なにしろ韓国全輸出の10%を占める企業グループの総帥でが起訴されるとなると、国家経済にまで影響が出るところまで考えておいた方が良い。ホリエモンどころではないのである。

検察当局は鄭夢九会長を一千億ウオン横領と、約3千億ウォン(約363億円)の損害を会社に与えた背任の罪に問われている。裁判所としては、逮捕状請求を却下できる社会的雰囲気ではないので今日にも認めるだろう。有罪なら最高無期懲役である。一人息子のキア・モータース社長である鄭義宣(チョン・ウィソン)も一緒に逮捕するとカイシャがアブナイ、と検察当局と裁判所が同意して盧武鉉も関与したのであろう……身柄拘束はしない、会長の方も在宅起訴である。

イナバウアー風:さて、溜め込んだ裏金を何に使ったかというと、ソウル市の幹部にバラまいてヒュンダイの研究開発センター建設許可を得たり、子会社の資金繰りのため政府金融部門の役人と銀行幹部を買収するべく、その資金をロビイストに渡した。仕事をしたロビイスト二人は既に逮捕されている。ほじくればキリがない妖しげな裏金基金のながれであるが、大なり小なりどの企業でもやっている。韓国でめずらしい悪質なおこないとはいえまい。

アンモナイト風:会長と社長の父子は国民に謝罪し、罪滅ぼしに小会社に60パーセントの資金を二人で寄贈した。会社幹部は企業の社会的責任を全うし、ビジネス倫理を確立し、透明な経営に邁進する。なにやらとても昔風、儒教的なのである。空々しい。2003年に現代の副会長が違法選挙資金提供で2年の執行猶予をうけていた。舌の根が乾かないうちに。(了)



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