安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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オッドな中国のアメリカ訪問
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〈 Fri, 21 Apr 2006 〉


●ジャファリついに降参、ギャネンドラはもうすぐ降参
グッドニュース20日のいちばんは、首相の座にしがみついていたジャファリがおりたこと。イラクを半年ダメにした人物。最大与党シーア派の統一イラク同盟が新しく指名をやりなおす。おそらくアブドル・マハディになるだろう。

ネパール国王ギャネンドラもついに年貢の納め時か、治安部隊が実弾を撃ち始めたが、国王の武力鎮圧の要望に反してマイルドな隊員が多い。そろそろ国王が逃亡するのではないか。そうやって独裁と王家の争いに終止符がうたれるなら、けっこうなことです。私の住むノルウェーではネパールといえばヒマラヤの麓にある小さな国とおもっているが、人口はノルウェーの5倍ある。それだけに大規模デモはカトマンズーの王宮突入だってありうるのだ。

●オッドな中国
胡錦濤のアメリカ訪問をメディアで見ると、どこかヘンだ。中国はとてもオッド。我が日本もオッドではあるが、エムバラシングの原因がちがう。
胡錦濤は記者の質問を受けないというのが、そもそも異常なことで、事前に誰が何の質問をするか、質問を検閲した上でしか中国首脳は質問を受けない。それでは意味がないので質疑は取りやめ、米は会談前に双方が声明をだし、会談後はかんたんな会見をしてすぐ昼食会である。ステートデイナー/晩餐会はない。日本で言えば、天皇にはお会いできない公式訪問というところか。米中は殆ど何事でも意見が合う見込みがないこんにち、ブッシュ=胡錦濤会談になにか意義が有るか当事者もわからないのでは?

晩餐会の代わりがホワイトハウス南芝生での歓迎式典、だがありゃなんですか、エムバラシングを越えてオッドなのです。アメリカがなぜお子様の祭りみたいな兵隊と楽隊をならべて赤絨毯で迎えるか、それは中国向け、中国TVのためにほかならない。中国側の要請が強かったにちがいない。中国の人たちが米と対等に行動する主席を見たい気持はわかるけれども、自分たちは米と肩を並べるまでにったと喜ぶ膨大な中国人がいるのは、わたしらちょっと緊張する事態である。

ブッシュのスピーチはこのチャンスを生かしたものだった。なにしろ膨大な中国人が見つめているTVである。人権尊重、言論と信仰の自由、資源あさり、人民元切り上げ、6カ国協議、イランへの対応、など中国への不満をシッカリ喋りました。軍事的脅威については胸にしまい込んだが……。ブッシュの後にスピーチした胡錦濤は、ブッシュの非難がましい内容には全く触れず、中米がともに発展するという利己的な未来志向、予定どおりだ。予定が狂ったのは法輪功のおばさんがすごくわめいたこと。かなり長かった。あとで中国側は米の警備に食ってかかっただろう。やれやれ。意表をつかれた胡錦濤は気の利いたレプリックも言えず、戸惑った。あのときブッシュがなにか囁いていたが、あれは、"You're O.K., "ダイジョブネ、だったそうです。

●遂行できるか中国ビジネス
胡錦濤一行は、露払いのゴギヤンさんに始まる大訪問団、であったが4日の滞在中、マイクロソフトとボーイング社で点稼ぎ。どっちも信用なりません。コンピューターのソフトのみならず、著作権無視で中国はやってきた。海賊版で育ち、海賊版で子供を育てる人間の習慣を法律や取り締まりで断ち切れるものかわ、です。ボーイングの買い付けなども、ハナシの段階で取らぬ狸の皮算用をしちゃいけません。中国本土で何台アッセンブリーするつもりなのか、この件も問題をはらむ。

さて、物別れのままだった米中会談は、粘ついたような両国関係が吹っ切れる機会でもあった。今後はライス長官あたりから厳しい対中発言が増すだろう。(了)



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