安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ブラックバーンからバグダッドヘ
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〈 Mon, 03 Apr 2006 〉


●ライスとストローの仲良しコンビ
ライスとストローの二人が、うちそろって日曜日にバグダッドに現れた。ニクソンの中国訪問、小泉の平壌訪問ほどではないが、びっくりしたなも〜。そういえばライスの日程が、ブラックバーンのあとでロンドンへ飛んだとか次はどこそこという情報がメディアから完全に欠けていて、しかしそれでカンを働かせるほど頭はよくない。で、びっくりした。ブラックバーンとバグダッドには何の脈絡もない。まだしもベルゲンとバグダッドなら、その心はどちらも「古都」である、くらいのダジャレになろうかと思うが。

昨日はライスのタフさと能力に感嘆したのですが、見方はいろいろある。れっきとした英国人が『何だ、あの二人は、ロイアルカップルみたいな真似しおって』。なるほど、二人は手をつないだり、片時も離れぬ日程でした。

●ジャファリ首相の笑みが消えた
さて、イラク政府の後見役である米英のNo2がそろって訪問したのは、大物がきたぞ、本気なんだぞ、早く新政府を作りなさいという催促。ジャファリ退陣への圧力である。ジャファリについては選挙後、過半数を取ったシーア多数派による首相指名にジャファリが選ばれたとき、『ああ、これでも行く先暗い。バグダッドの米大使館は胸を叩いて悲しんだ』、そんなコラム(2月14日)を書いて、あれからイラクのことは取り上げていなかった。それほどこのイブラヒム・ジャファリというシーア派のダワ党党首はだらしない。移行政府の首相になった昨年夏の終わりから、イラク情勢は悪くなるばかり。無責任でネアカのジャファリは一度もリーダーシップを出したことはない。のに、いつもニコニコだから。

選挙が終わって組閣にいいとこ1ヶ月、遅くとも2月半ばまでに新政府発足ということだったがいま4月です。組閣が出来ないなら首相続投は辞退せよ、と米は遠回りに圧力を加えたが、そういうことには執念深いジャファリで絶対に辞任しない。米記者のインタビューに『なぜなら民主主義で選ばれた最大与党の民主的選挙で指名を得たのである。我が政府は民主主義を厳守する』と、答えている。都合のいい時にデモクラシーを云々するのは、ハマス武装派の覆面たちもそうでいい気なもんだ。10日ほど前か、ブッシュがジャファリを望まないと発言、そのあたりからジャファリの笑みが消え、シーア内部からも批判がでるようになった。

● シーア対シーア内部抗争
ライスとストローのコンビが来る前日には「統一イラク同盟」のダウード元国務省がはじめて退陣要求を持ち出した。シーア内部は燻っている。これが火になればシーアとスンニの殺し合いに加えてシーア内部でも殺し合いが始まる。ジャファリが続投に選ばれた選挙は一票の差、武装民兵を私有するサドルの支持で勝てた。一票の差で負けたのが米の望んだアブドル・マハディ副大統領だった。ストローは彼と個別会談を行っているので、首相候補の筆頭とみてよい。しかし連立を束ねる人材がシーアにいないのが苦しいところで、結局ジャファリ首相が続投し、外務、内務(治安)、大統領の三役をシーア以外に振り当てる妥協案でケリがつく可能性が大いにある。(了)



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