●ノーベル賞と中国人
ノーベル賞を貰った中国人は何人いますか? こたえ:ゼロ。
そうなんですってね。何年か前、パリに住んでいる中国人作家がノーベル文学賞をもらったが、あれは国籍を変えていたのかな。屋根裏に住んでいたので大衆一般の人気者になった。それから随分前に、アメリカにいた中国人科学者が物理だと思うが受賞して、わが町ベルゲン大で講演したことがある。しかし新聞などで「小学校にもいかなかった」逸話が一人歩きして、特別人気者になった。この人、昔の中国ブルジョア家庭に育ったので、家庭教師だったわけですが、町のおじさん、おばさんたちが感心するのは「小学校にいかなかった」一事。これが万事なのだ。バカにして。
ほかにも物理学賞を受けた中国生まれの在外科学者がいるが、中国にいる中国人国籍の受賞者がいないとなると、寂しいだろうな。超大国中国の名にマッチしない。
●『ノーベル賞と科学的発見』
と、題するフォーラムが23日に北京で行われた。ノーベル委員会の委員でスウェーデン王立技術工科大学の先生が、選考法なども説明。そのなかでリップサービスでしょうか、今年や来年とは言えないが、『中国初の受賞者は女性科学者が有望、平和賞もあり得る』。
平和賞については、人権活動家や民主運動家は芽のうちに摘まれてしまって成果がない。文学でも体制下では難があるし、あり得るとすれば経済をのぞく科学分野だろう。そのために中国は近年、候補者の推薦や賞の働きかけを強めている。2008年のオリンピックに合わせて実現しそうだ。
●ベルスコーニの大胆発言
話はかわって、イタリアのベルスコーニ首相が耳を疑う発言:『毛沢東時代の中国では赤子を食べていた』。4月の選挙を控えて血迷ったか。とんでもない、再び反論:『あれは食べたのではなかった。暗い共産党の本を読んでみろ、赤子を煮込んで堆肥にしたのだ』。本とはイギリス在住の女性作家がロシアの資料を元に書いた例のベストセラーだろう。一国の首相が公に言う内容ではない。赤子とベルスコーニには勝てぬ。
中国は大使と報道官が失望を表明したくらいで、正式な抗議もない。もちろん名指しで非難したりしない。「2006中国意大利年/Italia in China 06」という芸術-文化-科学-経済-産業を網羅する大イベントの年、赤子発言を大きくしたくないのだろう。(了)