安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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バルカンの殺戮者ミロソヴィッチ死去(2)
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〈 Mon, 13 Mar 2006 〉


●心臓発作、それでも生きる毒殺伝説
ミロセヴィッチの死因は心不全、数回の強い発作によると、非公式速報メールがロンドン時間の夜10時過ぎにはいる。そうでしょう。この人はオポチュニストだから自殺タイプではない。一週間前に独房で自殺した元官僚戦犯は反論もせず罪を認めたマジメ人間。出所しても未来はないと悲観するタイプですが、ミロソヴィッチは、ハハハ、モスクワの実兄まで記者の質問にスロボダに限ってありえないと取り合わなかった。ミロソヴィッチ(以下M)の両親が自殺したのは遺伝子と関係ない時勢の悲劇らしい。

血液検査で異物(毒物)が混入しているか、この結果は14日の火曜日になるもよう。死去する前日にMがペン書きし、弁護士をとおしてロシアのラブロフ外相に届けるようという手紙<毒を盛られそうだ、今まで使ったことのない抗生物質とか、ライと肺炎にしか使われない薬があたえられた>。そんなふうに弁護士トマノヴィッチが毒殺を仄めかしたが、この手紙は4ページある。中には手前勝手な言辞が多く、ロシアに身柄を移すよう頼むのが目的である。だから先のコラムでは無視したが、毒殺伝説がセルビアのナショナリストたちに定着する状況に、抵抗してみました。

しかし、事実を認めない現象はごく普通にあることですね。ねつ造論文黄教授を殉教聖人にまつりあげる熱狂ファンもその一例。

●高血圧の薬といえば、
シャロンはこれで脳内出血の発作を誘発したといわれている(コラム2006.1.6終わりの数行)。ライと肺炎にしか使わない薬というのは血液の流れをよくするために高血圧と心臓疾患に実際つかわれるそうで、Mはこの治療を昨年から受けていたという。Mが心臓病の薬で発作をおこした場所が場所だけに、まだ呼吸をつづけるシャロンのように延命措置ならずイッキに亡くなった。そのほうが幸せ。ミロセヴィッチはいい時に死んだ。それだから、セルビア民族の栄光に浸れた者は『ユーゴの英雄』のため社会党本部の記帳に並び、家族を失ない土地を追われた被害者や収容所で生き残った者は悔しく、『裁判を逃げた男』なのである。

西側でMと最も長く深く交渉したリチャード・ホルドブロック氏は『裁判を逃なかった男』という。ン、これはこれで傾聴すべきご意見、というより次元がちがう洞察.叡智に感動ものでした。アナプール、ベティ、ベッキー・アンダソン、3人のCNNアンカーウーマンに応えているが、どれも文章に成っていないのが残念。

日曜、ベオグラードではちょうど3年前のこの日、狙撃された故ジンジッチ大統領を偲ぶキャンドルが立てられた。Mを逮捕し、国連ハーグ戦犯法廷に送ったジンジッチが殺害されなければ、下手人であるセルビア軍司令官ムラヴィッチとボスニアのセルビア人政治リーダーであるカラディッチをハーグに引き渡していただろう。(つづく)



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