安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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パレスチナ組閣蠢動
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〈 Wed, 01 Feb 2006 〉


●ハマスの幹部たち
ガザにいるハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤはいちばん穏健とされる。支援金継続を要望したその言い方がなんちゅうか謙虚である。『お金の使い方は透明にします。緊張を緩和し安定を維持できるよう物的精神的支援を請う』。

こういうお願い事は絶対口にしないのが、ハマス武装派のリーダー、マムード・ザールである。イスラエルから命を狙われるばかりか、PA治安部隊に何度も逮捕された剛の者。激しい反米/EU/イスラエル口調がマスコミに受けるので、ハマス全体が誤解されるもとになっているが、パレスチナ世論調査では84%がイスラエルとの和平共存を希望している。西側がよく問題にする「イスラエルを破壊、海に突き落とせ」というハマス設立憲章(1988)について、これなどは国連憲章にある敵国条項みたいなもので、時代ハズレの死文化同然である。世論調査でも73%のパレスチナ人が修正すべきと考えている。マジョリティーは汚職と暴力にウンザリしているのです。

ザールの家がイスラエル空軍のミサイル攻撃を受け、本人は留守だったが息子が殺されている。ハマスの精神的指導者ヤシン老師が殺され、跡をついだ医師ランティシもすぐ殺されたものだから、医師ザールは跡をつがず(パレスチナではなぜか医者あがりが尊敬される)上記ハニヤとサイード・サッヤムの3人がガザ地区の最高幹部とみなされている。

因みに、ガザから撃ち出すカッサムロケットというのはザールが関与する武装派アル・カッサム部隊が手作りしたロケット砲弾に由来する。久しぶりに昨日遅く(31日)発射、車を数台壊したました。また西岸ジニンで小競り合い、こんなこと珍しくないのについ書いてしまった。

●組閣蠢動 ファタと連立を模索するアッバス
さて、新政府の体制はいかがなりますか、アッバスは31日ヨルダンでアブドゥラ国王と相談し、その間、カイロ在住のハマス政治部幹部カーリド・メシャルはシリアへ飛んでエジプト情報相と会談。メシャルは先日ハマス武装派を新パレスチナ治安軍吸収すると発言した人物。アッバス議長はヨルダンからエジプトに飛んで識者、そこで戻ってくるメシャルと組閣について話し合う。同時進行でイスラエル外相リブニもカイロでエジプト外相と意見交換。ようするに近隣アラブ3国の仲介に援助も絡んで義理立てしながらファタとハマスの連立をさぐる考えなのです。神経のつかうことよ。

連立ね〜、ドイツが保革連合で一ヶ月揉めに揉めた事態をおもいだす。旧政権の閣僚たちはまだ強いことを言ってるが、ファタの下から突き上げられ、ハマス政権に入閣できるなら入閣したい輩はウジヤウジャ、いるだろね。あげくにどちらにも属さない識者系かテクノクラートを担ぐことになりかねない。

●プーチン、ブッシュを無視してハマスに味方
いまロンドンで70カ国が集まってアフガニスタン支援国会議が開かれている関係で、寄り集まってはハマスに対する注文が姦しい。イラン、ハマスに対してロシアも同調していたらしいのですが、会議の席を離れると否定する。モスクワにいるプーチンは「ハマス主導政府を引き続き援助する。ロシアはハマスを一度もテロ組織と認定したことはない」って、ちょっとまってくださいな。ハマスの自爆テロをずっと非難していましたね、あれとこれはドコが違うの?(了)



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