安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラン対応に苦慮する6カ国協議(4)
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〈 Sat, 21 Jan 2006 〉


メラケル独首相はイランが核開発再開を宣言したから、ブッシユと会談し、次にプーチンと合い談したのではないけれど、ちょうど首脳会談のタイミングに合致した。会談後プーチンが「イラン核問題対するロシアの立場は欧州同盟国と米に近い」と述べ、メラケルさんは女を上げました。バルト海からドイツに直接ガスパイプを引く計画はシュレーダーが推進し、その欧州子会社の重役に就任している。しかしこういう国家プロジェクトは、両首脳が確認し合い声明が出される。とき移り、といっても一ヶ月そこそこでシュレーだーさんはカヤの外ですからね・・

●ロシアの場合
ロシアは昨年イランに妥協案をだした。疑いをもたれるウラン濃縮はロシアが国内で製造して原発に使う濃縮ウランを提供し、核燃料廃棄物を引き取りましょう、という欧米が呑めそうな妥協案である。アフマディネジャドはここの申し出を一蹴したものの、安保理付託など形勢がわるくなったのでいまはオプションとしてロシア案を残している。

日本も原発を始めて長いあいだアメリカから濃縮ウランを買わされていた。もちろんその技術もなかったためでもある。戦後に始めた欧州の原発もすべて米から濃縮ウランを買っており、米の専売時代を経て国産技術を開発した。ロシア案はイランの核の平和利用を確実に保証する。イランとしては屈辱的ではあるが、この逃げ道は最後まであけておくだろう。

ロシアはイランの核施設建設と技術供与をおこなってきた。日本が米の要請に従い、イランとの通商、石油開発への投資を控えぎみにしているあいだ、中国は石油輸入と経済交流に奔走し、ロシアは核技術を売りまくっていたわけだ。ロシアはつい先だってもイラン第1号原子炉の建設、10億ドルの契約をかわしたばかり。中国は石油消費の12%をイランに依存する弱みがある。弱みのないロシアは、平和利用というかたちで遅かれ早かれ核ビジネスが戻るのを待てば良いのだ。待てば核ロの日よりあり、アハハ。

●イラン、安保理回避に外交総動員
アフマディネジャドは大胆不適、ヒジョーシキ発言をするわりに細心な性格のようだ。安保理付託対策に外相(代行)大使を理事国で味方になれそうな国にくまなく派遣しつつある。もう一人、イランのIAEA代表ソルタニエ(Dr Ali Asghar Soltanieh)という厚顔がいる。EU3国が理事国に配布した決議草案はただの勧告にすぎないけれど、やはり国益に悖る。テヘラン市長の経験しかない過激青年には、近辺の独裁者たち、かつてのアラファト、フセインやアサドI、まだ健在のカダフィ、ムバラクに比べようもなく、アサド・ジュニアにくらべても小冠者に見える。いや、むしろ小冠者のほうが危険かもしれない。

●問題は安保理付託の次
イランとIAEAとの話し合いは3年中断。EU3国の調停は2年まえから断続的に行われていた。安保理付託の是非をきめるIAEA理事国は35カ国、2月2日の緊急理事会で裁決される。付託はほぼ確実、ただしこれを受けて開かれる国連安保理では具体的制裁に至らないのも確実。IAEAで再協議、対話努力をせよとか、EU3&米ロ中+イランの7カ国協議開催ってなことになりかねない。



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