安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
イラン対応に苦慮する6カ国協議(3)
------------------------------------------
〈 Thu, 19 Jan 2006 〉


● 中国とイランの接近
中国とイランは急速に接近している。両国の2005年度貿易総額は新記録、中国は石油だけでなく、いわゆるノンオイル製品を10億ドル買い付け、イラン最大のお得意先になっている。石油ガス事業には川上から川下まで雑多なプロジェクトに参画し、パキスタンを通るアジアへのガスパイプライン引き込みをただいまインドと熾烈に競っている。

毎日70万人が利用するイランの地下鉄は、なにあろう中国製だ。イランの兵器はイ・イ戦争いらい中露が主要な供給国である。昨年、中国とイランは38のプロジェクトを契約、進行中と今後のエネルギー契約がいっぱいあるのに、『制裁』に加わるなどもってのほか、論外である。しかしおおっぴらに云えることではないので、中国首脳の口からはこのイラン核開発についていまだに聞こえてこない。

●イラン支持が露骨な外交部報道
以下は中国外交部秦剛・報道官による中国の立場:『EU3国とイランは忍耐をもって危機打開のため最大の努力を払われたい』。また『安保理付託は事態を複雑にする』。というのが、予想通り中国のスタンスである。

もとはといえば、ラフサンジャニからハタミにかけて積もり積もった核疑惑にブッシュが切れそうになり、ブレアが説得して英仏独のEU3国が調停を申し出た。核査察を受けいれるなら大経済援助を行うという提案。この交渉を、もう覚えていないが1年以上断続的につづけ、EU3国は忍の一字で交渉したがついに決裂。もう話し合う余地はない。そこでイランが核開発再開を宣言したものだから、EU3+米露中の6カ国で対応を協議する。と整理しておいて:

中国はイランと対話努力をと慎ましいことをいうが、対話にはシラクさんもサジを投げたのです。中国の意図は引き延ばしともうひとつウラがある。それは、「平和利用の疑惑について話し合ってもよい」と、少し慌てたアフマディネジャド発言への支援表明になっている。安保理付託は事態を悪化させる発言も然り、これは『制裁するなら原油高騰を招くぞ、困るのは欧米だ』と、大統領に劣らず過激な経財相の発言に合わせ、イランに全面支持を知らせている。

●対話継続、北朝鮮の例
対話対話と長引かせているうちに中国は北朝鮮を取り込んだ。外交努力、対話継続とは、問題に頬被りし利己的利益を伸ばすための方便である。イランもその手で抱き込むか。まあ、英仏独は日韓より遥かに賢明なので、それにロシアもイランには権益がありすぎる。

しかるに、我が国へは首脳会談、相互訪問とも「ならぬ、態度を改めよ」って、ムジュンだよね。(了)

「ロシアの場合」は次回へ



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る