安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラン対応に苦慮する6カ国協議(2)
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〈 Wed, 18 Jan 2006 〉


● イランの場合
世界のあらゆる国は査察を条件に核兵器以外の核開発を許されている。核拡散防止条約は核兵器の開発を禁止しているが、原子力発電など平和利用を行うことは禁止していない。そして現今の化石エネルギーの高騰と供給不安定から、原発の新建設を中止していた欧州各国が再検討をはじめた。原発なんて珍しくもない。

世界にいくら原子力発電所があるか、日本には原発がいくつありますか? そんなこと知りませんが、日本にざっと50基くらいか、国内消費電力の35%をまかなっている。ウラン濃縮もちゃんと自前で行っていて、ウラン235を極限まで濃縮すると核爆弾ができる。それを監視するのがIAEAの役目である。だから査察さえ許可すれば北朝鮮でもイランでも問題はないのだが・・・査察を拒否する理由は兵器開発とみなされる。文句あるなら査察を受け入れろ。

イランが核開発に固執する切実な理由を、イランの立場に立って思いめぐらせてみると、周りには米に爆撃されたイラクとアフガニスタンがあり、巨大な米軍が存在する。核を持つイスラエル(疑う人はいないだろう)に対抗するため対等の立場にたつことがイスラム国の念願であり、ま、イランは正確にはアラブではないけれど中東各国のバックアップがある。決して孤立していない。

●プレスティージとしての核
貧しい国にとって核は希望の灯火、貧者の一燈、国威発揚のキメダマなのである。中国、インド、パキスタンが核実験をおこなったときのお祭り騒ぎはすごかった。中国がはじめて核実験をおこなったとき、知り合いの米婦人がおそろしいーワ、世界の終末よ、アルマゲドンよと気の毒なくらい跳んでしまい、わたしうろたえたのを覚えている。中華街では花火が打ち上げられ、あのころの日中関係はまだ人的物的交流が希薄で、しかもサヨク華やかりし頃だから日本人も一緒にお祝いする雰囲気がありました。インドとパキスタンが核実験に成功したときは当地にいたのですが、あちらから来ている研究員、学生が「良くないことだ」といいながら顔は嬉々としていたわな。

アフマディネジャドは記者会見で『我々が諸君を必要とする以上に諸君は我々が必要だってことをわすれるな』と、石油を武器にうすら笑みを浮かべて脅してくれました。数々の荒っぽい言動にハタミも同調し、陰であやつる最高実力者ハメネイ師は全然おもてにでてこない、つまり親分の後押しがある。

●核の平和利用というたてまえ
アフマディネジャドは注意深く核開発はあくまで平和利用が目的と表明しているので現時点では国際ルールに明確な違反はないといえる。やりにくい相手である。これまでもイスラエルは欧州へ引っ越すべし、ホローコーストはイスラエルのでっち上げなど、珍妙な発言をくりかえした顰蹙を買ったが、ああいう考えは中東で極端と思われていない。核施設については封印を取り外し、IAEA の査察を中止したが、注意深く言質をとられないよう平和的研究で押し通すかぎり、肩を持つ国が少なくない。米英仏独のくやしいところだ。(了)

明日は「中露の対応」をとりあげます。



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