●アルカイダ副官・ザワヒリを逃す
13日、米はアフガニスタン側からミズスマシのようなPREDATOR(無人偵察爆撃機)を真夜中パキスタン側に飛ばし、民家をミサイル攻撃した。に、アイマン・ザワヒリ他が国境近くのダマドラ村で会合するとの情報をもとに仕留めたつもりが、夜明けてみれば、アルカイダなんていない。がれきの中から子供3人女性5人を含む民間人17人が見つかった。
プリデイター機を使ってパキンスタン領内に潜むアルカイダやタリバンの幹部の爆撃に成功した例がいくつかあるが、失敗もいくつかある。ごく最近でもワリジスタン爆撃で8人の民間人が犠牲になり抗議デモがあったところだ。今回の誤爆で、カラチほか各地で反米デモが巻き起こった。日曜日のデモは米のンゴ事務所が焼かれたくらいで比較的おだやかにすんだが、反米スローガンとともに反ムシャラフのスローガンもある。この辺は中国での反日デモが反政府デモに転換する以上に直接因果関係があり、ムシャラフ大統領は厳重に警戒している。
●口をつぐむホワイトハウス、攻撃を弁護する議員
しかし、他国の領土を了解なしに爆撃してよいものか、主権侵害のうえ民間人が爆殺されて怒らない国民はいない。とにかく失敗が絶対に許されない爆撃に言い訳などない……とおもうでしょうが、米の反応は意外や、多くの上院議員が、民主党議員まで弁護発言を展開している。結果には謝罪するが、意図はよい。問題はアルカイダとタリバンの聖域化したパキスタン側国境地帯だ、という主張。尤もではある。
ムシャラフは思い出したように時々親タリバン国境地帯を捜索するが、政府介入には反発が強い地域のため徹底的にはできない。またアフガニスタンに駐留する米軍1,9000人は越境できないので無人爆撃機を使わざるを得ない。米としては悔しさもあろう。というわけで、この問題は米国内ではさほど議論にならない。でもって、パキスタン国民はますます反米に傾くのです。
● 地震被害者数万人の救命と市民誤爆の関係
パキスタン北部の地震に米はヘリを派遣して救援にあたった。パキスタンの将軍ムシャラフは救援部隊さえロクに組織できず、救援物資の多くが途中で消えてゆく。にもかかわらず、米は救援物資や支援金をどの国より多くパキスタンに提供している、クリントンも努力した。米としては人道支援に尽くしながら、誤爆の見返りに反米一辺倒ではソロバンが合わない。昨日パパブッシュが月曜日に雪と寒冷の被害地を訪問する予定だったが形勢悪く中止である。
さて、米は遺体からDNA検査を行い、ザルカウイが本当にいなかったか確かめるという。結果が出るまで米は公式コメンとをいっさい控えているようだが、材料はあるのかな。遺体は早く埋葬された。掘り起こすつもり?それはできない相談です。(了)