安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ケイコ・フジモリのミニオレンジ革命
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〈 Sun, 08 Jan 2006 〉


●新風、庶民的なケイコさん
フジモリ元ペルー大統領にイキの良い庶民的なお嬢さんがいらしたのですね。リマの市中をフジモリ氏の似顔絵やオレンジ色の旗、オレンジ色のシャツをきた2000人が気勢をあげた。宣伝カーにはケイコ・フジモリという自然児のような若い女性。28歳、フィジモリ氏が離婚してから、ファーストレディーの代役をつとめた女の子というのですが、ハー、知りませんでした。ペルーはフジモリ時代から米と距離を置くようになったのですが、ケイコさんは現在アメリカ住まい。

フジモリ氏の支持率はチリでの拘束状態が長引くにつれ落ちてきた。15-8%といわれる。先頭の候補者でも20%少しだから、ここでケイコ人気が沸いてくると、支持率ではトップになるだろう。と、これはあくまで人気のはなしであって、フジモリ氏の立候補が認められない現状では場外ゲームにすぎない。

●庶民の味方か独裁者か、評価別れるフジモリ
これまで一度もアルベルト・フジモリ氏ついて取り上げなかった。自分でも変だなと今頃気づいたが、理由はフジモリ氏に2度目のチャンスはないと思うから。南米で10年大統領を努めるのは至難のワザ、どんな実力者で十徳のあるご仁でも、いかに善政を行おうとも、10年経てば飽きられる。

フジモリ氏失権の場合も中南米でよくある政権追い落としのパターンと大差なく、民主的組織の抑圧と賄賂による政治操作、諜報機関と軍部の私物化などが非難された。そういうパターンを信じるわけではないが、二期目の大統領選で圧勝したころでさえ、40%の真実はあっただろうとおもう。

だが日本では氏の人気が高い。インフレ克服、左翼ゲリラ鎮圧など氏の功績が盛んに報道され、『オラが国自慢』に嬉しくない人はいない。しかもフジモリ氏の容貌は気さくなオジサンにぴったり。軍を掌握し反対者を粉砕する権力者にみえない。そこへ例の『日本大使館人質事件』の全員救出で、日本政府はたいへんな借りができた。と同時に、この綿密でド迫力がある救出作戦を実行する特異な行動力の背後に、隠密軍事行動に長けた冷酷な権力者の顔がみえた事件でした。

●立候補を阻む壁に無力のフジモリ
日本へ亡命して5年、フジモリ氏は政治的陰謀というが、昨年11月チリに入国してから現在の境遇は氏の想定していた計画からほど遠い。「大統領選出馬に歓呼を受けて帰国」の夢は実現しなかった。現在ペルーから12の罪状で送還要請を受け、チリ法廷は審理のためフジモリ氏を無期限拘束中である。

6日、フジモリ氏は4月のペルー大統領選挙に、立候補届け出をおこなった。わたしの予想は受理される見込みなし。2012年まで公職追放の身であり、フジモリ氏の政党は認められていない。12の罪状も立候補阻止への手段である。それを承知で立候補するフジモリ氏は、常人ではない。氏の言葉によると、受理されなくても投票用紙にフジモリの名が最多数を占めれば、復権就任できると読んでいる。るエキセントリックな個性、やはり英雄ですな。英雄にはお好きなようにふるまっていただきます。(了)



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