安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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シャロンが倒れた二つ理由
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〈 Fri, 06 Jan 2006 〉


●Shalom Sharon 平和あれシャロン
4日の夜「アリエル・シャロン首相倒れる」のニュースにビックラコ、仕事を切り上げライブTVを見る。クルミとヘイゼルナッツ割っては食べながらビールを横に夜2時過ぎまで、手術の経過報告をまだかまだかと待っていたが、ツナギのコメントや各国首脳の反応ばかり。イライラと食べ過ぎはよくない。そうですねシャロンさん、てな独り言をつぶやいてベッドへ。

気になるのか、朝6時に目覚めてまたライブを覗くと、正味7時間の手術がおわり、24時間昏睡にして集中治療室に移された。容体は安定。Now he is fighting for his life. ということはもう再起不能なのでしょうと解釈。右脳内出血、それも大量の出血だ。止められたところで脳機能の回復はムリというもの。事態はわかった。また4時間ぐっすり眠る。

年末、軽い脳卒中で倒れたとき、シャロンの健康は首相続投をゆるさないだろう、倒れたときの後継者がいないこともコラムに書いた。しかしあっけなくも早かったなぁ。その後の意思報告では昏睡を48時間延長、計72時間ですが、これは脳内出血を最小限におさえるための処置。出血はとまっていないのだ。集中治療室を窓から見てきた少数の側近、閣僚は無言だが表情にシャロンは再起不能とかいてある。

● 中東和平のゆくすえ
中東和平は進んでいるのか後退しているのか、今日まで50年以上争っているパレスチナ紛争が、しばらく頓挫しても危機感などあるものか。

あと100日に迫った選挙のゆくへは? シャロンの中道新党「カディマ」の後継者は?  今月25日のパレスチナ選挙は? ハマスが進出すればリクードのナタニエフ党首がまきかえすか? 等々、活発な報道のオンパレードが始まります。またアラブに一般的な見方にそった虐殺者シャロン論を受け売りする輩もゲンキになる。わたしの予想より確実におもしろいので、いまはもの言わず見物しようとおもう。それじゃ何のためのコラムか、アクセスされる諸姉に怒鳴られる。お口直しに倒れた原因の片々を思索してみました。

● 倒れた二つの理由
己のヴィジョンを達成するために与党リクードを離れ、新党を結成したのはエネルギーのいる苦労であっても、心労ではない。新党『カディマ』は最近支持をつよめ、議員や民間の有力者が党員に加わった。一方、ナタニエフは最右翼から中道よりに軌道修正をはかったが支持が伸び悩んでいる。ガザ撤退を敢行し、西岸の一部から撤退を表明しているシャロンの政策、パレスチナ共存ヴィジョンが国民に受け入れられ、ソート・リーダーのチャンピオンは心労など吹っ飛ぶ勢いがあった。

一つは心因性。息子のリゾートビジネスに絡む不正収賄でシャロンが関与していた。この件は証拠不全でシャロンは不起訴になったが、今度は99年のリクード党首選疑惑である。選挙資金を不正調達したとして捜査がはいり、新年早々にどうやらその資金は息子がワイロで得た証拠があがった。事実ならシャロンは政治生命を断たれる。心労はこれだな。イスラエルは中東で唯一の民主国家である。首相といえ警察の追求から自由ではありえない。

二つ目は医療治療として、暮れの18日に発作があってから服用していた血液凝固を防ぐ薬にある。血液を薄めサラサラに流れやすくする薬が、脳内出血を誘発した疑いがある。

とまれ、惜しんで惜しみきれないシャロン、無情、無念である。(了)



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