安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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雪で屋根が落ちるとき
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〈 Wed, 04 Jan 2006 〉


新年の門出に雪の事故があいついだ。強く丈夫なキカイで有名なドイツがどうしたことか、不名誉な脆さがでた事故である。

2日アルプス、ドイツ側の小さなスキーリゾート地でスケートリンクの屋根が真ん中から崩落、翌3日にチェコではスーパーの屋根が崩落。どちらも積雪20〜30センチで、それくらいなら我が家の近辺でもめずらしくないのだが?

しかし家なら柱が何本もあって、小さな家屋を支えている。室内スポーツアレナは決まりきったことだが、天井を支える柱がない。周りの壁から渡した緩やかなアーチで屋根が落ちないようにしているだけで、上からの加重に耐えるようにはできていない。

●ベタ雪の重さ
強度力学など解らないことはさておいて、厚さ30センチの雪の重みについて、雪質によって重さがずいぶんちがう。我が家では雪が続くと(たまにある)ベランダに積もる。サラサラの粉雪は50センチあろうとポリスチロールのように軽い。それが数日して気候がゆるむと屋根の雪が滑り落ち、4分の一がベランダにドドーッと落下するのです。家を揺るがす威力がある。この落下した雪は、雪投げのタマや雪ダルマによい水分を含んだ重い雪で、ベランダの上、わずか1メートルくらいの幅にワンコ盛りになるわけです。1m四方の加重は10キロ以上あるかな、10平米x10キロをスコップで放り出すのは重労働なのです。

スケートリンクに積もった雪は救出作業の映像で見るとウスい、だが押し詰まっている。湿った雪で重そうだ。リンクは30年前の建物でそろそろ建替えを計画中だったという。集成材と溝型鋼などの鋼板で補強された構造で、集成材の太さは新しい建物にひけをとらない太さがある。問題は集成材の強度ではなく、接続鉄板部分が壊れている。30年前の工法と観念すればそれまでだが、無惨。

●不運が重なる
リンクのあるBad Reichenhall(バート・ラインヒェンハル)はミュンヒェンから車で2時間半、オーストリアのザルツブルグからも近い。行ったことはないが、地名から温泉がありそうだ。事故には必ず不運がある。ロックの響きとディスコライトに照らされて滑っていた新年の客は、だいたい帰り、閉店の4時まで後数分のときに崩落した。満員なら大惨事になっていたところだ。

またこのスケートリンクとプールのある老朽施設を補修するか、建て替えるか長いあいだ町の話題になっており、2-3週間まえにも市議会で議論があったという。
当日リンクの係員が屋根の積雪高をチェックして安全と判断した。雪の厚さであって雪の重さをはかったわけではない。人的ミスといえ、不運がかさなった。

さて、数日リンクに雪を積もらせた雪雲は東へ移動し、オストラヴァというチェコの町で同じ雪を降らせていた。この町のスーパーで屋根が崩落、二人が負傷したもよう。事故は閉店後だったためドイツのように大事故にならずに済んだが、このスーパーはドイツ資本のリディ・チェーンである。わが町ベルゲンにもあるチェーン店で効率至上主義の経営で飾りッケのない箱型の大規模店である。ヒジョウに安いから文句はないが、雪の日は注意しよう。(了)



Pnorama Box制作委員会

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