安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
2006年、エネルギー試練の幕開け
------------------------------------------
〈 Tue, 03 Jan 2006 〉


●米でも炭鉱事故
炭坑爆発ときたら中国、と頭にうかぶ昨今、米西ヴァージニアで炭坑爆発があった。米では、欧州もそうですが新年イブに夜通しどんちゃん騒ぎをする。元旦は意識もうろうとして寝静まっているので、街も村も一年で一番静かな日。でも2日は働きに出なければならない。学校とか官庁はお休みでも労働者は出勤するのです。

それにしても米の炭坑では仕事始めの2日、地下深くへ降りるトロッコの始発が
朝6時とは恐れ入った。グウタラ世人は頭を垂れるべし。さて、次発2台目のトロッコに乗っていた10数人は途中爆発音を聞き、バックしたが、1台目は帰ってこなかった。少なくとも12人が閉じ込められている。このSAGO炭坑の先ッポは1.5キロの深さがある。年末クリスマスホリデーの間に、火災をおこす危険がある一酸化炭素が溜まっていたらしい。米の炭鉱事故による死亡者は2004年13人、2005年は史上最低の3人。率の低さを誇っていたが・・・

●烏露瓦斯戦争
(烏はウクライナのウ)、ロシアは警告通り1月1日からウクライナへのガス供給を削。水道にたとえるならチョロチョロしか出ないよう元栓を閉めた。供給停止は100%実施するとわかっていたが、どうもウクライナ用のパイプだけを閉めるのは難しい。ウクライナ領内へ多方向から入り、多方向へ出てゆくパイプラインを国境の外から制御するのは不可能とおもえる。

ウクライナを経由して欧州へ輸出されるガスパイプに影響が出、中北部の欧州諸国は軒並みロシアからの供給量が20〜30%減ってしまった。ガスプロムはウクライナが欧州向けから抜き取っていると非難するが、ユーシェンコは根拠なしと突っぱねる。それはともかく、ウクライナは目一杯の備蓄をしたはずです。ロシアとしては3月の選挙で親欧米ユーシェンコ体制をひっくり返す目算が、さあどうか、かえって反ロシアで団結、もう一度オレンジの旗並がそうですよ。

●プーチンとシュレーダー
プーチンはユーシェンコをもっと懲らしめてやりたいが、欧州のブーイングには顔をだしたくない。次回G8の議長国としてエネルギー安定供給を議題にすると強引に決めたプ−チンのメンツが立ちません。ガスプロムに欧州供給に粗相のないよう訓示しておいて大統領閣下は表向き10日まで新年休暇である。で、EUが対策会議をひらく4日にさきがけて、パイプラインの圧力を加えて規定の供給をまもる旨ガスプロムが表明し、実際数時間で通常供給に戻した。これで欧州とのトラブルは一応鎮まったようだ。

ガスプロムは世界の天然ガス埋蔵量の20%を所有する世界最大のガス生産会社である。欧州向けはいまのところウクライナ経由が80%で、安定分散供給が望まれる。ドイツのシュレーダー前首相が、バルト海側から直接ドイツにパイプラインを引く計画に熱心でした。この欧州側共同企業をスイスにつくり、既に敷設工事が始まった。シュレーダーがこのガスプロム欧州小会社の重役に就任して物議をかもしたが、見直されたかな。フムおもしろくない。(了)

●資料:ガスプロム、2006年国別販売価格(1000立方メートル当り)
ルーマニア $280
EU平均 $240
ウクライナ $230 (2005年は$50)
アメリカ $110
ベラルーシ $ 47



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る