安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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薄まったアムール川汚染
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〈 Wed, 28 Dec 2005 〉


●流れる水は元の水にあらず
中国吉林省の化学工場爆発がもたらした河川汚染はその後、大きな問題にもならず線香花火のようにニュースから消えてしまった。ニトロベンゼン汚染という事故の半分は、不備な安全対策による人的事故にかかわらず、市民への実害を最小限におさえたことで中国政府が「自画自賛」してもらってもこまるのだが。

ハルピンは水道供給停止5日間のあと給水問題は解決した。ロシアのハバロフスクではアムール川に流入したベンゼン濃度が許容量の35%以下だったことで、市民58万人に通常通りの給水がおこなわれ、昨日あたりに汚染流は通過した。河川汚染によってロシアで反中感情がおこる……すわ、と思惑していた向きには肩すかしでした。

この松花江汚染について11月24日のコラムで、「(サハリン北の)河口では薄められてゼロ値に近いだろうが、700 km下流のハバロフスクは汚染を免れない」と書いている。おもったより濃度が薄まったな。これは中国側がハバロフスク市へ給水するウスリー川取水口にベンゼン吸収フィルターになる活性炭を供給。その手前中国側には突貫工事でダムを建設し、堰で食い止めたことが効果あった。あとはダムから小出しにすればよい。

●ロシアに対する中国の涙ぐましい努力
このように、中国はロシアに対して涙ぐましい努力をしたのです。具体的な対処措置が浮かばない当初は「どんな補償にも応じます」と低姿勢。孔子の教えにかなっております。なぜか、改まって問うまでもなくロシアの石油・ガスは中国の命のツナであり、プーチンを怒らせれば『国が傾く』からです。しかも事故をおこした化学工場は親会社が石油グループである。また、中国軍はロシア留学組で占められていて「ロシアに強く出よ」とは言わない。

翻って、中国は日本を非難するほど『国が立つ』状況にある。中国政府には日本留学組もいたけれど、反日・江沢民の時には消滅し、残った唐家旋は日本に厳しいウラミ組である。日中の思わしくない関係は畢竟、化石資源が枯渇したあと、ポスト・石油エネルギー時代まで待たなければならないのだろうか。そのときまでに日本人科学者、エンジニアは脱石油エネルギー源をぜひよろしく究めてください。

さて、ロシア側は被害額補償金を驚くほど要求、吹っかけますぞ。ハバロフスクから下流の知事さんや市長さんが中国批判を煽る道理はない。すでに賠償を考えてアムール川の漁業を2年間禁止すると発表した。(了)



Pnorama Box制作委員会

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