●ロシアの雪解けは長い
名古屋空港、小松空港の積雪をCNNの天気予報で見る。韓国も降りました。モスクワはもちろんマイナス温度、積もった雪はそう簡単には解けない。ロシアの「雪解け*」は長い……という題にもっていこう、では:
ロシア人の3分の2が『ソヴィエト連邦時代のほうが良かった』という調査結果が最近出ました。昨日、水曜日はスターリン生誕126年の記念日とあって大雪のなかをクレムリンのスターリン廟に詣でる長い行列があった。あのころはチェチェンやウクライナの問題はなかったし、バルト3国、グルジヤでロシア人は我が物顔に振る舞えた。自由化より、タダで食えた統制時代が懐かしい〜。
そういう背景があるので、プーチンは民主化に逆行する規制と大統領の権力強化法案を苦もなく通すことができる。つまるところプーチン政策はロシアの総意、たぶんそうだろう。だが民主国家側の総意ではない。最近の動きから例をあげると:
▽知事公選を大統領任命制に変えた。このほど憲法審議法廷で合法と出る。
▽NGO規制法案、修正のうえ可決。発効には連邦議会の承認が必要だが躓く懸念はない。既にロシア内に支部を持つ海外NGOは少し不自由だが継続できるが、新規参入とロシアのNGO組織は厳しく規制される。
▽オイル・ガス企業の国家管理徹底。ロスネフチ、ガスプロム。
▽側近、閣僚、政府トップに旧KGBから重用の傾向が継続、中国より独裁体制が著しい。諜報機関FSB(連邦保安局)の目がひかっている。盗聴・拉致なんでもありだ。
●ロシア式政治的懲罰
ウクライナが西を向いたユーシェンコに代わってから、ロシアはガス供給を絞るか吊り上げるといわれていた。ユーシェンコは慎重にクレムリンとの関係を保ってきたが、とうとう値上げ3.3倍を通告された。1月1日から実施。プーチン曰く「西へなびくなら西側への輸出価格を払え」というわけ。経済低迷つづくウクライナにはカウント6ぐらいの打撃である。
ノルウェー産サーモンに重金属が10〜20倍も許容量を超えるとして、唐突にロシアは漁業省が輸入禁止を通告してきた。1月1日からロシア仕様の「特別安全検査証明書」とやらをノルウェー産に限って実施するという。面食らったのはノルウェー政府、輸出業者ばかりでなく、ロシアの輸入業者も同じ。この通告はロシアのトロール漁船[レクトラ]が密猟でノルウェー沿岸警備艇に牽引のうえ、詳しく検査された数日後に発せられた。これが原因の懲罰と考えられている。ソニーのデジカメが隣国で販売禁止になったのもなにかの懲罰か。(了)
*1956年イリヤ・エレンブルグが『雪解け』を発表。フルシチョフがスターリン批判を始めた年である。あれから半世紀、スターリンの亡霊は生きている。