●ジェームス・ルービンの総括
今年もあと一週間、英スカイニュース「今夜のワールドニュース」1時間のアンカーマンをつとめるJ・ルービン(ブッシュ一期目のホワイトハウス主席報道官でおなじみ)が毎日プログラムの最後に短い感想を述べる。21日は概要こんな風に締めくくりました。
『数ヶ月前、ホワイトハウスは暗く、ブッシュへの疑いが広がった。国内政策ではカタリーナ台風では地方との連動に疑いが、イラクの米兵死者が2000人にたっして海外政策に疑いが、また財政赤字は経済政策に疑いをもたらした。
しかし好転した面もある。先週のイラク選挙は投票率が高く、暴力は少なかった。新政権は反乱を弱める政治的妥協ができるかもしれない。そうなれば2007年には相当数の米軍兵力を削減できる。マッケイン上院議員のおかげで2007年からホワイトハウスが虐待を裁可する汚点から済われる。
こういう楽観は、イラク反乱活動やテロ対策法、米市民への超法規的盗聴の暴露、ブッシュ側近(C.ローブ)の起訴がらみの報道などによって容易に破綻するかもわからない。しかし暗かった数ヶ月前を考えれば、ブッシュ・チームにとってまずまずのHappy new year であろう。』
ルービン氏は無難な表現だが、良識とおもう。良識をまもらなくてもよいわたしはもう少し自由に敷衍できる。
● ブッシュ連続5回目演説とイラク選挙
11月から始まった4連続演説は、イラク無策の批判に答えることにあったが、場所がわるい。ミリタリースクールとか軍事組織関連で支持者をまえにGo Go演説をTVで見せると、市民感情として拝聴する気分にならない。反論要旨を文書で流し読みすると全然わるくない。ま、代りばえしない内容で、4回目にはまたお手本の日本をもちあげた。そんなこと日米両国とももはやどうでもいいことなんですがね。だもんで意図した挽回にいたらず、支持率低下をくい止められなかった。
支持率が50%以上に急進したのは、もちろんイラク議会選の成功に追い風があるといえ、エキストラ5回目のWH執務室からのTV演説が、功を奏した。このひとりひとりに語りかける日曜日のエキストラ演説は、直後のCNN投票で「良い」が「良くない」の4倍に達したほどです。この演説は16日に予告され、15日のイラク投票がうまく行ったのを見極めてのことである。ならば、自画自賛だろうと偏見していたのでライブは見ていませんが、編集ビデオでは自省あり、切々とした訴えあり、大責を担う大統領の発言に似つかわしい……そういう部分がけっこうありました。
●見込み違いだった世俗派の伸び悩み
民主選挙が行われたことは成功だが、米政権の期待であった世俗派アラウイの「イラク国民リスト」が揮わない。ブッシュ米はショックですよ。コラムに書いた個人的期待はあっけなくはずれてしまった。100議席を失うと予想した「統一イラク同盟」が110くらい獲得するそうで、部族投票の慣習から一歩もでていない。
● どこへいったかビンラーデン
パキスタン訪問中のラムズフェルド国防長官が、アフガニスタン駐留米軍削減について話したほかに、ビン・ラーデンに関して『世界のアルカイダ組織に指令的な役割をもっているか疑問視している』発言があった。本人とおもわれる最後の音声テープは昨年の12月で、まる一年音沙汰がない。なるほど、公開禁止のご本尊さまのごとし。
●おまけ:死刑になったスタンレー・ウイリアムスの葬儀。この写真(下記のサイト)にみたとき映画のシーンかとおもった。シュワルツネッガー知事が死刑執行に署名Oし、注射の効果うすかったのか絶命まで十数分かかったあの少年ギャング団リーダーだった愛称「トゥーキー」です。51歳まで成人生活のすべてを刑務所でおくったわけですが、素晴らしい人間に変化した。更生なんてもんじゃない、惜しい人間をみすみす殺すのはどうか、という反対意見が多かった。シュワちゃんは故郷、オーストリアの地方小都市から猛然と非難されちゃった。でもなんですよ、この写真はギャングらしさがキマッてるなあ。
http://www.sky.com/skynews/picture_gallery/picture_gallery/0,,70141-1206709-1,00.html