●韓国農民団体1400人が遠征
世界貿易機関（ＷＴＯ）香港閣僚会議はきょう18日（日）閉幕する。共同声明を待っているところですが、被害者であるLDC（開発途上国）がガッカリする結末になるでしょう。毎回のことです。

途上国からと途上国に同情するNGOや、グリーバリゼ０ションに反対する平和活動家がWTO会議の場所にあつまってくるのも毎回のこと。全世界からやく9000人が香港に集まった。今回のエキストラは韓国農業団体が1400人を送り込んだこと。こんなに組織的で行動的なデモは、WTOの歴史ではじめてのできごと。

日本にも同じコメ自由化問題がもっと早い時期にはじまり、ある程度門戸を開けたといえ輸入には8倍近い関税でコメ農家を守っている。今回も低関税の輸入ワクを少し増やすとか、テクニカルに経産省が対策を考えています。農協が国内で政府に対して反WTOのデモはやっても大挙して遠征したことはなかった。

●途上国の抗議グループから浮き上がった韓国デモ
韓国の農業団体が、日本農協のように多角的な企業体になっているのか知らないが、組織力では一流ですな。初めて目撃する各国代表には異様であり、抗議グループにすれば利己的で自分のコメ以外は知らん顔だ。「あれは仲間ではない」とおもうだろう。まずいことにメデアは韓国デモにかまっていて、アフリカの声をきいてくれない。

アフリカ、東南アジアなど途上国にキープしておくべき農業とテキスタイルが廉価品の流入で壊滅しているのです。先進国の輸出補助金をなくし、途上国の輸出に関税を取っ払ってくれという立場にある彼らのいい分はこうです：『1400人も飛行機でやってきて何日も安宿でないホテルに宿泊するくらいお金がある農家がなぜデモるのだ、贅沢ではないか、政府が背後にいるのでは？』。

●優秀な香港警察
まさか政府の後押しはないと思うが、韓国政府はこのデモに加担しないまでも交渉カードに使いたい気はあるだろう。香港警察はイギリス警備隊の機動力と装備を受け継いでいるので優秀です。放水車や催涙弾、カラシスプレイで対抗、900人を逮捕した。負傷者70人、うち警官10人という。デモ隊は統一がよく武器を携行していないので、騒ぎにしてはまずまずでした。土曜の夜には前列の目立つ者をゴボウヌキにしはじめ、これがなかなかうまい。先日香港の北にある広東省でデモ隊に発砲した警備隊とひと味ちがう。とにかく香港に駐屯する中国人民軍の出動にいたらなかってなによりです。

●欧米の問題点・補記
欧州は国内農産物補助を廃止しない。特にフランスはEU予算から国内農業補助にタップリまわしていながら、イギリスにEUリベート（還付金）をもっと減らせと詰め寄ったではないか。そうやって昨日徹夜のEU予算会議でシラクさんはとうとうブレアをおとした。

もう少しEU予算会議の結果をつづけます：フランスの農業補助の削減については２年後に見直し協議を行うことで形を整えたにすぎない。２年後に実現するかといえば90％だめでしょう。それほど欧州農業企業は手強い。また輸出補助金の撤廃には各国根強い反対がある。おわり。

米は小麦、トウモロコシなど食料や綿花の輸出国である。余っているのだから輸出し、それでもあまるから輸出補助金を受けてアフリカにタダ同然で放り込む。人道的食料援助としては全額国が買い上げた上でアフリカに寄贈する。とどうなるか、アフリカ産より安い農産物が市場に出回ればどうなるか。貧しい国の農業は壊滅だ。
（了）