安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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スンニ、投票所に行列
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〈 Fri, 16 Dec 2005 〉


●スンニが燃えた選挙
番狂わせではないが、スンニの投票率が予想以上でした。年1月、イラク史上初の民主選挙をボイコットしたスンニの投票率は20%以下だったことをおもえば、今回の80%は驚異的である。サッダムの出身地チクリットでも80%、破壊されたナジャフでは、投票所がオープンできなかったところが3分の1ちかくあったが、投票率はよい。

●なぜスンニが投票したか
(1) いろいろな分析があるが単純に「ボイコットは失敗だった」と認識されたのではないか。ボイコットしたために参政できなかった歯がゆさがあり、一部は鬱積のはけ口を暴力にうったえた。すなわちフラストからくるスンニの野次馬的騒擾はこれから少なくなる見通しだ。

(2)上記と関連することですが、イラクの警察、治安部隊はシーアの専売みたいなもので、秘密刑務所でのスンニ囚人に対する虐待が問題になっている。最近の警察学校砲撃やシーア住民に対する無差別テロは、その報復と考えられる。現状はイラク警察の能力を高める方策に懸命になっているが、各部族の混成によるイラク警察の創設がもっと大切ではないのか。その混成部隊が今回のスンニ参加で実現される。

●低調なシーア本拠の南部
シーアの投票率はおもったより低かった。大アヤトラ・シスタニの威力が明らかに落ちているのがわかる。シスタニをバックにするジャファリ首相のタヨリなさは宗教政治の限界を露呈した。都会部では現実的な政策をもつ世俗派に投票したシーアがかなりいるもようです。投票率がわるかったのは南部の純粋シーア地区で、ナシリヤ、バスラ、サマワなど60%そこそこである。もっともこの地区では全員が宗教政党の「統一イラク同盟」に投票しているので、結局は第一党になるでしょう。が、現在の135議席より減る。わたしの主観的観測では100議席失うのではないか、とまあ期待しておこう。

タラバニ大統領がこの選挙を『ナショナル結婚日』と喜びを率直に表明したように、新政権樹立に幸先の良いスタートをきりました。(了)



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